人材を入れ替えて爆速成長したヤフー

朝倉:人が替わってステージが変わったという事例で言うと、我らがヤフージャパン。

小林:だって井上さん時代、16期連続増収増益ですからね。

朝倉:そう。昔の体制でも業績面では十分に素晴らしい会社だったのに、そこからさらにギアを上げてくる。

小林:宮坂さん、川邊さん、小澤さんらの体制になって、明確に雰囲気の違いが出てきたのを覚えてます。「爆速」を掲げて少ししてからだったと思いますが、中途採用で負けることが何度か出てきたんですよ。それまで、ヤフーって採用では人を輩出する側だったんです。それが、採用のオファーの時に「ヤフーと迷ってるんです」って言う人が増えた。確かその時期、人事のトップの方も変わられて、人事施策もかなり大胆かつスピーディに変わってきてた。それを見て、「この会社、ほんまに変わる気かも」って思った。

村上:結局、ステージを変える時には人を替えないと会社は変わらないっていうのは、多くの経営者が指摘してることやね。そういう意味だと、日立も人を替えると同時に事業の割り方を変えているから、結局、人を動かしてるんだよね。

小林:「人を替える」というと、「あいつはアホだ」とか、「あいつは賢い」とかそういう話に聞こえるんだけど、僕は山の登り方を変えるっていう話だと思ってます。エベレストに登る時に、ネパール側から登って無理だったら、チベット側から登ってみる、というような。でも、「登る方向がおかしかったんちゃうか」という議論を、前と変わらないチームのままするのって難しいんですよね。そうした時に一番簡単な方法が登る人を替えることなんですよ。

村上:これは難しいよね。「人は変えるべきだ」、でも「ロングタームでやるためには、インセンティブと紐付けなくてはならない」。それを誰かが上位のレイヤーでモニターしていないと、結局、中期的に株価に跳ね返った時に、誰に功績もしくは責任があったのかが評価できない。そうした時に取締役や報酬委員会の機能がないと難しいよね。社長が最上位概念になった瞬間に、それが担保しづらくなる。