海外機関投資家が見出したスタートトゥデイ

朝倉:時価総額1兆円に到達したスタートトゥデイは、外から見ていると「スーッ」と行ったという印象を受けます。

村上:スタートトゥデイの1番のステージチェンジってどのフェイズかな。4年くらい前までは、そこまで大きな会社じゃなかったのに、一気に来たよね。

朝倉:気付いたら飛び抜けていたように感じますね。

小林:小売業に見えて、フィナンシャルな付加価値も取るっていう側面を最近は強めてますよね。割賦の話とか、単なる小売業とは見てないのかもしれません。

村上:あとは、日本という極東のニッチなECの、さらにニッチなアパレルの、ニッチプレイヤーという存在から抜けた時点で、資本市場における知名度に関してはグローバルに礎を少なからず築けていた。「スタートトゥデイっていうおもろい会社あるよ」って4年くらい前から言われていたと思うんですよ。そこから、ちょっとずつみんなが注目し始めて、それくらいから入った大きな投資家って結構いると思います。
あそこのフェイズまでに、組織面・事業面の足腰が鍛えられてたからこそ、日本のマザーズの中小型株の一つだった時代はそこまで機関投資家に拾われなかったのが、あるタイミングで優良投資家の目に入ってきて、先行的な指標でトレーディングされ始めたんだと思います。だから、事業の成長以上に株価はぐぐっと伸びたよね。

小林:成長期に大規模にスタートトゥデイに投資してたのが、キャピタルやフィデリティ、Joho Capital、オービスなどの海外の大手機関投資家。まだ2012年の株価がすごく低かったころに入り始めて、その後の大量保有報告の変更届を見ても、相当長期にわたって大規模にホールドしていたのがわかる。そこでふと思うのが、「日本人じゃないんだ」ってこと。

朝倉:結局、マザーズに投資できる日本の機関投資家って極めて限られていて、マザーズに設定されているファンドが極めて少ない。そうなると海外の投資家が全部持っていってしまう。先ほど挙げたマザーズのじげんにしても、海外の投資家が多いですよね。

小林:日本の機関投資家が発見できないというのは、日本人としてはちょっと残念ですよね。

朝倉:もう少しこのあたりが盛り上がってくるといいですね。サッカー日本代表と同様に応援しようよとまでは言わないまでもね。

*本記事は、株式公開後も精力的に発展を目指す“ポストIPO・スタートアップ”を応援するシニフィアンのオウンドメディア「Signifiant Style」で2017年10月15日に掲載された内容です。

ソニー・ヤフー・日本電産、ステージチェンジには人を「替える」朝倉祐介 シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県西宮市出身。競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。ミクシィ社への売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、政策研究大学院大学客員研究員。ラクスル株式会社社外取締役。Tokyo Founders Fundパートナー。


ソニー・ヤフー・日本電産、ステージチェンジには人を「替える」村上 誠典 シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県姫路市出身。東京大学にて小型衛星開発、衛星の自律制御・軌道工学に関わる。同大学院に進学後、宇宙科学研究所(現JAXA)にて「はやぶさ」「イカロス」等の基礎研究を担当。ゴールドマン・サックスに入社後、同東京・ロンドンの投資銀行部門にて14年間に渡り日欧米・新興国等の多様なステージ・文化の企業に関わる。IT・通信・インターネット・メディアや民生・総合電機を中心に幅広い業界の投資案件、M&A、資金調達業務に従事。


ソニー・ヤフー・日本電産、ステージチェンジには人を「替える」小林 賢治 シニフィアン株式会社共同代表
兵庫県加古川市出身。東京大学大学院人文社会系研究科美学藝術学にて「西洋音楽における演奏」を研究。在学中にオーケストラを創設し、自らもフルート奏者として活動。卒業後、株式会社コーポレイトディレクションに入社し経営コンサルティングに従事。その後、株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、取締役・執行役員としてソーシャルゲーム事業、海外展開、人事、経営企画・IRなど、事業部門からコーポレートまで幅広い領域を統括する。