酢を使う面倒を解消
ひっそりと地味に発売

 当時、食酢自体の売り上げが落ち込み、穀物酢などの生酢と呼ばれるノーマルタイプの商品から、調味酢へのシフトが起きていた。

 働く女性の増加で、料理に時短や簡便さが求められるようになっていたからだ。

 酢は他の調味料に比べて扱いづらい面がある。一から合わせ酢を作る手間がかかる上、酢を入れ過ぎて味がばらつきやすいなど、料理の場から酢が敬遠されていた。

 そうした問題を解消するものが開発できないか。それが、カンタン酢開発のきっかけだった。

 さらに、ヒントは「すし酢」や「らっきょう酢」といった既存の調味酢商品の使われ方にもあった。

 消費者にヒアリングすると、すし酢は酢飯を作る以外でも活用されていた。いまのカンタン酢のような汎用性の高い使い方がすでに根付いていたのだ。

 そうした使用法は、ミツカン自身が大々的に宣伝していたわけではない。あくまで料理が得意な人がアレンジとして活用する、いわば“通の使い方”だ。

 ならば、料理が得意ではない人でも、このように調味酢を幅広く使えるようにしようと考えた。

 そこで、カンタン酢は、すし酢に比べて塩味を抑えるなど味わいをよりマイルドにすることで、使い勝手が良く、万人に受ける味に仕上げた。さまざまなメニューへの活用も前面に押し出した。

 また、それまでの食酢商品は瓶詰が一般的であったのに対し、ペットボトルを採用。小容量のサイズにして、使いやすさを追求した。