ヒット商品の裏には必ず「インサイト」あり。消費者がモノを思わず買いたくなってしまう心のスイッチ――「インサイト」を活用し、新しい市場を切り拓く方法とは。国内での新規事業の創出だけでなく、インドや中国といった海外進出の際に実際に使われた方法もまとめた新刊『戦略インサイト』。本連載ではそのエッセンスや、マーケティングに関する最新トピックを解説していきます。

「フレーバーウォーター」は
誰の、どんなインサイトをとらえているのか?

「い・ろ・は・す」からメロンクリームソーダが出て、驚かれた方も多いのではないでしょうか?「い・ろ・は・す」は、水のブランドだから、みかんや桃などナチュラル感があるフルーツフレーバーならわかるけれど、ここまでスイーツ系というか、人工的な味系の(ある意味ジャンクな)フレーバーを出すんだ、と。

出典:「い・ろ・は・す」公式サイトより https://www.i-lohas.jp/products/sparkling/mcs/

一見、メロンクリームソーダが透明っておもしろいでしょ、というのが売りの商品のように見えます。しかし、実は、人々の潜在的なニーズ(インサイト)をとらえる、とても戦略的な狙いをもった商品といえます。

そもそも、フレーバーウォーターは、どういう人たちのどういうニーズをとらえてヒットしたのでしょうか?
フレーバーウォーターの愛飲者は、水(フレーバーなし)は味気ないから、あまり飲まない。本当は、ジュースなど甘い飲み物が飲みたいけれど、なんとなく子どもっぽいし、オフィスなどで飲むと違和感がありそう、と思ってジュースを飲むのを控えていた大人たち。
こういう人たちにとって、フレーバーウォーターは、水のちょっと知的でスマートなイメージで、ジュースのような甘い飲み物を、オフィスなど人前でも堂々と飲める、理想的な飲物となったのです。

フレーバーウォーターは、あくまで「水」に見えなくてはなりません。愛飲者にとって「水の外見」で「甘い中味」を楽しめることが大事です。
だから、水のシンボルとして「透明」であることがとても重要です。しかも、「い・ろ・は・す」という「水」が出自(アイデンティティ)のブランドから出ているから、これはけっして「ジュース」ではなく「水」だと、まわりの人々に自然とアピールできます。