今の現役世代で、60歳から満額(老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計のこと)の年金を受給できる人はいない。現在60歳前後の昭和32年4月2日~34年4月1日生まれの男性は、63歳から厚生年金の報酬比例部分の受取りがスタートし、65歳から満額受給となる。

 まとまった額の貯蓄がない限り、60代前半は働かざるを得ないのが現状なのだから「定年後、働く・働かない」の選択肢は、ほとんどの人が「働く」を選ぶ。

 働く場合でも「フルタイムで働く・週4日で働く」の選択、「65歳まで働く・その前にリタイアする」の選択など、それまでなかった「自分で決めることができる」状況に直面することになる。

 サラリーマン生活を送っていると、働き方や収入などについて、自分で選択できることは少ない。というより、皆無に近いだろう。ところが、定年をきっかけに次々と選択に迫られることになる。ずっとサラリーマンをしていた人にとってみると、想定外の展開で戸惑うことだろう。

 実は、定年以降の選択には制度面での「ソン・トク」が絡むので、慎重に決めるべきなのだ。制度の内容を知らずに選択すると、結構なソンをすることにもなりかねない。

働き続けて厚生年金を払い続けると
その後の年金額が増える

 それでは、前述の「ちょっとしたギモン」についての答えを解説しよう。

◆「働くと年金が減るってホント?」
 →給料があるときは減るかもしれないが、リタイア後の年金額は増える。

 定年以降厚生年金に加入して働き続け、年金の一部(特別支給の老齢厚生年金)が受け取れるようになると、給料の額に応じて年金が減額されることがある。これを「在職老齢年金」という。今の60歳前後のケースだと、63歳から年金の一部がスタートする。

「年金が減るのがイヤだから働くのをやめる」という人がたまにいるが、減らされる原因は給料があるからなのだから、年金が減額になったとしても働いているほうが収入は多い。