人生100年時代と金融機関はあおります。Photo:PIXTA

「記事広告」にろくなものなし!

 筆者の手元に、ある大手金融機関が大手全国紙に掲載した、記事広告の抜き刷りがある。「人生100年時代」を前面に押し出し、「資産寿命」という言葉を使って、投資信託商品を巧みにセールスしている1面広告だ。金融機関の支店の店頭でもらった抜き刷りの裏面には、この投信の一面広告が載っている。どちらにも、新聞社のロゴと紙面の日付けが入っている。

 資産運用を専門とする立場から読むと、この商品は達成できそうにない「うまい話」を巧みに説いており、一般人にとって危険な記事広告で、はっきり言って不適切な内容なのだが、新聞社も商売なので仕方がない。誌面には、右上に小さくだが「広告」と表示してあるので、今回は大目に見ることにしよう。新聞社も金融機関も名前を上げない。他媒体や他金融機関も似たようなことをしている。

 しかし、一般的な経済リテラシーとして、記事の体裁を取った広告である「記事広告」と一緒に紹介される商品やサービスに、ろくなものはないと覚えておこう。不動産や金融商品、健康関連商品などの広告が多いが、商品自体に端的に訴求できる魅力がないから、「商品が必要とされる背景」を記事仕立てにして説明し、あたかもその商品が問題の解決策になるような印象を醸し出そうとするのだと考えておくと、おおよそ当たっている。