しかもである。今回、金正恩委員長はポンぺオ長官と面会していない。これは何を意味するのだろうか。

 どうも北朝鮮側は、6月12日の米朝首脳会談において、トランプ大統領が「自分たちの主張に理解を示した」と理解した節がある。そのためポンぺオ長官が、北朝鮮の段階的非核化や、「行動」対「行動」の原則に寄り添った対応をし、米朝間の交流拡大や、朝鮮戦争終戦宣に関する問題を並行して討議することを期待していたのだ。

 ところが米側は、北朝鮮の「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)」や、核施設の申告・検証を強く求めた模様。これは、北朝鮮側が期待した対応ではなく、金委員長は不快感を示す意味で面会を見送ったのだろう。

 韓国の主要紙『中央日報』によれば、こうした北朝鮮の姿勢については、米国でも意見が分かれているようだ。例えば政府高官は、北朝鮮のこうした声明は「交渉戦略」であると見ているようだ。一方でCNNは、金委員長が会わなかったのは「いいサインではない」として、北朝鮮の声明に不吉な予感を感じたと報じている。

 金委員長にとって目下の最重要案件の交渉は、米国とのもののはずである。真摯に交渉する姿勢であれば、訪朝した米国の国務長官と会わないという決断はしない。あくまでも、自分たちのペースでしか交渉に応じないとの意思表示なのではないか

首脳会談における米国側譲歩が
北朝鮮を束縛から解放

 今回のポンぺオ長官の訪朝をめぐっては、トランプ大統領は当初、「首脳会談の翌週だ」と語っていた。しかし、2週間ほど遅れ、しかもポンぺオ長官が「期限を設けない」と述べるまで引き延ばしてきた。

 その間にも、「北朝鮮が核ミサイルの開発を継続している」とする新しい事実が次々に公表されている。

 まず、ワシントンのシンクタンクの北朝鮮分析サイト「38ノース」は6月26日、米朝首脳会談から9日後に撮影された衛星写真に基づき、寧辺にある核施設のインフラ整備が急ピッチで進んでいるほか、ウラン濃縮工場の稼働も続いているとの分析結果を公表した。