「200年に一度」の豪雨対策に
巨費を投じることの難しさ

 また長期の運転停止を避け、都市機能を守るための取り組みも始まっている。

 たとえば東京メトロは中央防災会議の被害想定を受けて、駅の出入口、トンネルの坑口、通気口など、地上とつながる無数の穴を封鎖して水の流入を防ぐための防水ゲートの設置や強化を進めている。これらの設備が完成すれば、地下トンネルの浸水は相当程度防ぐことができると期待されている。

 大阪メトロでも南海トラフ地震による津波対策として、2014年から30駅の浸水対策工事を進めており、洪水、高潮に対しても効果が見込まれている。

 しかしそれでも完全な対策は困難なのが実情だ。鉄道事業者が単独で対策を進めても、他鉄道会社との乗換駅、駅通路と接続した地下街や民間のビル、工事現場など、水の通り道は無数にあり、これら全ての開口部をふさぐことは、物理的にも費用的にも難しいからである。仮に建築基準などを改め、全ての事業者・管理者に防水対策を義務付けたとしても、対策完了までには長い年月がかかるだろう。200年に一度、1000年に一度というような発生確率の洪水に対して、どれだけの費用をかけて対策していくのかについても、社会的なコンセンサスが得られているとは言い難いのが実情だ。

 今回の水害で被害を受けた人の中には、自分が住んでいるところで洪水が起こるとは考えていなかった、避難しようと思ったら既に水が来ていて逃げられなかったという人も多かった。まずは日本中どこであっても水害が発生し、思わぬ形で被害が拡大する可能性があるということを認識することが、自分の身を守り、都市機能を守る第一歩となる。