SUBARU(スバル)は7月10日、中村新体制による2025年までの新中期経営ビジョン「STEP」を発表した。
中村知美新社長は、吉永前社長に続く営業畑出身。国内営業の経験が長く、直近の4年間は、スバルの稼ぎ頭である北米担当の海外第一営業本部長兼SOA(スバルオブアメリカ)会長として米国駐在していた。
米国駐在期間中、前任の吉永社長が経営戦略として掲げた「集中と選択」を思い切って進めた。結果、北米におけるスバルのブランド力を高め、収益力を大きく向上させることに成功し、連結業績の営業利益率は米国を稼ぎ頭として10%以上(2016年3月期は17.5%と自動車業界最高の利益率)を確保し続けたのである。
ところが昨年秋の東京モーターショー開幕日のことである。日産に続き、国内工場の完成車で資格のない従業員が検査を行っていた問題が報道された。その後も社内調査で燃費、排出ガスのデータの不正問題が発覚すると、同社の品質や企業風土に起因する課題が顕在化した。
吉永前社長は昨年秋以来、数度にわたる謝罪会見に追われた。これまで積み上げてきたスバルのブランド力が一連の不正問題で吹っ飛び、吉永体制の最後の花道を汚す格好になってしまった。
中村新体制が取り組む
新中期経営ビジョン「STEP」とは
そんな逆風が吹き荒れる中で、新社長となった中村氏が最初に取り組んだのは、2025年までの新中期経営ビジョン「STEP」であった。この発表会見に臨んだ中村社長は「一刻も早く真の実力を養成し、風土改革は最優先の課題であるが、お客様からいただく“ディファレント”がスバルにとって誇らしいモノとなるよう個性を磨いていく」と考え方を示した。