田澤氏によると、「テレワークによる働き方改革に取り組む企業はここにきて着実に増えている」という。総務省の『平成29年通信利用動向調査』では、「テレワークを導入している又は具体的な導入予定がある」と回答した企業は全体の2割に近づいている。

コストカットに生産性向上
遠隔地の人材も採用可能に

「幸せなテレワーク」は夢ではない!働き方改革に出遅れない心得田澤由利(たざわ・ゆり)
株式会社テレワークマネジメント代表取締役 兼 株式会社ワイズスタッフ代表取締役。1962年生まれ。奈良県出身。上智大学卒。北海道在住。シャープ株式会社を経て、PC関連のフリーライターとして独立。98年、北海道北見市でワイズスタッフ設立。2008年、テレワークマネジメントを設立。東京にオフィスを置き、企業などへのテレワーク導入支援、国や自治体のテレワーク普及事業などを実施。08年、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2009」リーダー部門7位に選出。2015年 総務省「平成27年度情報化促進貢献個人等表彰」を受賞。2016年「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」個人賞受賞。テレワークに関する講演・講義多数。『在宅勤務が会社を救う: 社員が元気に働く企業の新戦略』など著書多数 写真:株式会社テレワークマネジメント

 テレワークに注目する企業が増えるのは、ビジネス環境の変化によるところが大きい。少子高齢化、人手不足、経済状況の不確実性などにより、社員の働き方を見直さなくてはいけない企業が増えているのだ。

「経済が右肩上がりの時代は、男性社員を中心に残業を厭わない働き方によって会社は成り立っていました。しかし、今やビジネスパーソンが理想とするワークスタイルは多様化している。女性を中心に、子育て・介護によって会社で働く時間を十分にとることが難しい『制約社員』が増加しているのです」(田澤氏)

 少子高齢化の影響により、子育てや親の介護で「外で働きたくても働けない」人はこれからさらに増えるだろう。労働力不足で良い働き手を採用できない一方、仕事に熟練した「子育て社員」「介護社員」が職場を去ってしまったら、会社は万事休す。これ以上の成長は望むべくもない。みんなが無理なく働き続けられるよう、勤務場所をフリーにし、長時間労働を是正して、仕事と家庭を両立しやすい働き方の仕組みをつくることが急務となる。その解がテレワークなのだ。

 テレワークを導入した企業からは、実際に様々なメリットが報告されている。

 企業にとって最も大きいメリットは、やはり「人材確保」だ。人手不足が深刻化するなか、制約社員の離職を防げば、新たな人材を雇うことで生じる採用費や教育費を節約できる。また、社員全員が会社にいなくても仕事が回るので、交通費を削減でき、小さなオフィスに引っ越して賃料を浮かせることもできる。出張や会議のための異動時間などを減らせるので、仕事の生産性も向上する。

 他にも、大地震など天変地異の際に会社に来なくても仕事ができるという危機管理上のメリット、自社に通えるエリアに住む人だけでなく、遠隔地や地方に住む優秀な人材も採用できるという地理的なメリットがある。障害者雇用の数値目標が企業に対して義務付けられるなか、テレワークなら地方に住む多くの障害者を雇用対象にすることもできる。何より「テレワークが進んでいる企業」という印象を世間に与え、企業イメージのアップを図れる効果は大きい。

 一方で社員にとっても、通勤時間を節約できる、居住地を自由に選択できる、ワークライフ・バランスを実現しやすい、といったメリットをテレワークはもたらしてくれる。