中国・広州に続く米国での液晶工場
巨額投資リスク顕在化

 代わって飛び出した第6世代の工場設備は、2004年に稼働を始めたシャープの亀山第1工場と同じ規模。この設備で製造される液晶パネルは、大型テレビ用ではなく、スマートフォンやパソコン、自動車用になりそうだ。大型液晶から中小型液晶の設備に変更されれば、投資額も減少する見通しで、「1兆円も必要ない。2000億~3000億円で済むはず」(米調査会社ディスプレイ・サプライチェーン・コンサルタンツの田村喜男氏)とみられている。

 だが、液晶工場の設備のサイズを小さくしたとしても、サプライチェーンが整備されていない米国で液晶を製造する「コスト高」の問題は解決しない。米国で液晶工場を建設するハードルは依然として高く、「第6世代の液晶工場もまだ決定したわけではない」(部材メーカー関係者)のが実態だ。

 当初は、液晶パネルの製造からテレビの組み立てまでの一貫生産を構想していたが、液晶への投資も決まらない新工場となり、当面は液晶テレビの組み立て工場としてスタートするとみられている。

 一方で、液晶テレビの組み立て工場として運営するだけではトランプ大統領にアピールした100億ドルの投資額には到底及ばないため、まずは第6世代の液晶工場への投資判断を本格的に検討していくことが迫られる。

 だが、郭会長は起工式で、新工場の計画変更や投資減額には触れることなくトランプ大統領と握手を交わした。中国・広州での液晶工場の建設に続いてぶち上げた米国の1兆円規模の工場建設は時がたつにつれて、巨額投資のリスクが顕在化しているが、郭会長はのらりくらりと曖昧な態度を続けながら、今後の投資を判断していくことになりそうだ。