台湾・鴻海精密工業主導の再建で、業績が急回復したシャープ。だが、早くも、鴻海・シャープの液晶連合に難題が持ち上がっている。
「優秀な技術者を確保できていない。とてもパネル工場の“米中同時立ち上げ”に間に合わない」(シャープ関係者)と、開発現場から悲鳴が上がっているのだ。
すでに、鴻海は「10.5世代」と呼ばれる世界最大級のガラス基板サイズ(畳5枚半に相当)の液晶パネル工場を米国ウィスコンシン州、中国・広州の2カ所で立ち上げることを表明している。米国工場は2020年までに稼働開始、中国広州工場は19年の第3四半期に量産開始というスケジュールが組まれており、両工場の立ち上げ時期が重複している。
この“米中同時立ち上げ”の実務を担うのが、鴻海とシャープとの共同運営会社、堺ディスプレイプロダクト(SDP)だ。共同運営とはいっても、実態はシャープの技術者の寄せ集め。要するに、鴻海ではなく、シャープの技術者が最新鋭工場を二つ立ち上げなければならないのだが、そのための開発リソース(人材、設備)の不足や技術開発の遅れが懸念されているのだ。