元ポルノ女優への「口止め料」で窮地に立つトランプ大統領Photo:ユニフォトプレス

 このところ、「イラン核合意」からの離脱や北朝鮮に拘束されていた3人の韓国系米国人の解放、米朝首脳会談の開催決定と立て続けに派手な外交を展開しているトランプ大統領だが、国内に目を向ければまさに崖っぷちに追い詰められている。

 2016年米大統領選でトランプ陣営がロシアと協力(共謀)して、対立候補だったヒラリー・クリントン氏にダメージを与えようとしたのではないかとされる「ロシア疑惑」や、そのロシア関連の捜査をやめさせるためにコミー前FBI長官を解任したのではという「司法妨害」の捜査で、次々と新たな事実が明るみに出ているのだ。

 それに加え、トランプ大統領が性的関係を持ったとされる元ポルノ女優、ストーミー・ダニエルズさんに支払った口止め料が選挙資金法違反にあたる疑いが出て、大統領の個人弁護士がFBIによる家宅捜索を受けた。

“ストーミー”さんは5月5日、NBCの人気バラエティー番組『サタデー・ナイト・ライブ』にゲスト出演し、トランプ大統領に扮する男性に対し冗談まじりにこう言った。「(大統領は)気候変動は信じないとおっしゃったけど、“ストーム”(嵐)がやってくるわよ」。まさに彼女の「警告」通り、モラー特別検察官の追及は大統領自身に着実に迫っている。

 5月16日には、モラー特別検察官が「トランプ大統領本人を起訴しない考えである」と、大統領の弁護団に伝えていたことが明らかにされた。しかし、刑事事件とは関係なく、モラー氏の捜査は継続されており、最終的に発表される報告書の内容次第では、大統領は議会によって弾劾訴追される可能性が残されているのだ。