シンギュラリティが起きた世界は
ディストピアなのか?
では、シンギュラリティが起きたと仮定しましょう。
そのとき、その世界は夢も希望もないディストピアの世界なのでしょうか?
確かに、スティーブン・ホーキング博士のように、「シンギュラリティは人類の破滅を意味する」と断言する人もいます。
では、全能型のAIの知能が人間を超えたら、なぜ人類は破滅するのでしょうか?
ちなみに、再び、拙書『マルチナ、永遠のAI。』の天才開発者、田淵の言葉を借りると、「シンギュラリティが起きてすべてのヒトがAIに従わされるのであれば、それは知能の問題ではない。ヒト側の器量が足りないだけだ」。
田淵の言わんとしていることは、知能だけで「人類の破滅=人類を支配」ということにはならないということです。人類を支配するには、AIに「支配欲」がなければなりません。そして、この「欲」は知能ではなく「心」です。
要するに、田淵は、AIは知能面では人類を超えるだろうが、AIには心がない。すなわち、人間がAIに支配されるなど笑止千万と考えているわけです。
正直なところ、AIにいずれ心が芽生えるのか、私にはわかりません。ただ、仮にAIが感情を持っても、また、人類を敵とみなしても、シンギュラリティによるディストピアを粛々と受け入れるほど人類は愚かではないと私は信じたいです。
かと言って、AIがもたらすのはユートピア。未来はバラ色、と自信を持って断言することもできません。だからこそ、私は今から準備することが大切であると考えます。
なぜなら、こと画像認識においては、GoogleのAIは、「人間が開発したAI」よりも優秀なAIを開発することに成功しました。端的に言えば、AIがAIを作る。
そんな時代に私たちは生きているのですから。