構想・執筆に2年。『エフエムふくやま』でも、「ページをめくる手が止まらなかった」と紹介され、映像化したいというオファーが舞い込んできた話題のAI・仮想通貨のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。』
作者は、IT書籍の総売上が150万部を超え、小説でも『エブリ リトル シング』が17万部のベストセラーとなった大村あつし氏。注目のシンギュラリティに関する論考をお届けしよう。
(構成・寺田庸二)

AIがAIを作る時代に突入!<br />グーグルのAutoML。<br />シンギュラリティをユートピアにするのも<br />ディストピアにするのも、我々人類しだい!

まずは、冷静にシンギュラリティを
議論しよう

 第35回連載『やはりシンギュラリティは起きるのか! AIが人間には理解できない独自の会話を始めた!』は、もしかしたら本連載でもっとも反響が大きかった記事かもしれません。
 掲載日にアクセスランキングで1位を取ったこともそうですが、なによりも多くの賛否両論をいただきました。

 もちろん、シンギュラリティが起きるのかどうかはわからないので、否定的なご意見があるのは当然ですが、それ以前に、「シンギュラリティの捉え方」が多種多様であることを痛感させられました。

 まず、シンギュラリティ、技術的特異点は、一般的には、AIが人間の知性を超えること、そして、それによって人間の生活に大きな変化が起こることを指すとされていますが、そもそも論として、「なにができたら人間の知性を超えたと言えるのか」、この判断も百人百様であると感じました。

 実は、2018年7月現在で、AIの学者の中には、「AIの知能は人間の6歳児以下」と訴える人もいます。
 一方、拙書『マルチナ、永遠のAI。』に登場する天才的なAI開発者の田淵は、「シンギュラリティはすでに特化した分野で発生している」と断言します。

 確かに、6歳児以上の人間のように人間らしく振る舞えるAIはまだありません。  しかし、私は、第15回連載『読唇術で人間に勝利! AIの恐るべき動画認識はココまできている!』の中で「動画認識AI」を紹介しましたが、この「動画認識AI」などは「特化した分野」でのシンギュラリティとは定義できないのでしょうか?

 私は、レイ・カーツワイル博士の「2045年理論」を持ち出すまでもなく、AIの開発者が日々研究・開発、そして教育をしている以上、シンギュラリティが起きる可能性は誰にも否定できないと考えます。