グーグルの「人工知能を作るAI」
「AutoML(Automatic Machine Learning)」のすごさ!

 2017年5月、グーグル・ブレインの研究者は、人工知能を作るAI「AutoML(Automatic Machine Learning)」の開発を発表しました。

 AIがAIを作るなど、もはやこれこそがシンギュラリティではないかとすら感じますが、AutoMLが興味深いところは、AIによって作られたAIが、画像認識の分野では、人間が作ったAI以上のスコアを叩き出したことです。

 具体的な技術論や詳細なデータは紙面の都合で割愛しますが、理論的には、もはや画像認識に特化したAIを人間が開発する必要はなくなったということです。
 もっとも、AIの開発はまずは画像認識からスタートするのが常で、AutoMLはまだスタート地点に立ったばかりではありますが、これが動画認識、音声認識、会話能力と応用範囲が広がっていったらと考えると、シンギュラリティには楽観的な私でさえ、やはり脅威、いえ、恐怖すら覚えます。

 だからこそ、シンギュラリティをディストピア的な未来にしないために、いえ、ユートピア的な未来を築くために、私たち人類は真剣に考えなければならないと思っています。

 これは次回の連載に譲りますが、幸いにも、「機械学習の結果が人権を損なわないようにする必要がある」という「トロント宣言」が採択されるなど、人類は決して無策どころか、真剣に対応を考えています。

 しかし、「宣言」は、所詮は「目標」ですから、宣言などお構いなしに独自にAIの開発を進める企業が出てきてもなんの不思議もありません。

 そうなると、宣言よりも強い「法的な整備」が必要となりますが、「法律がテクノロジーの進化を止めてはならない」という根強い意見があるのもまた事実です。

 ただし、そのテクノロジーが人類の幸せに寄与しないケースでも、そうした主張が通用するのでしょうか。

 そうした点も踏まえて、今こそ私たち人類は、自分のために、そして子孫のために、AIと真剣に向き合うべきだと私は考えます。

 さて、このAIは、「ディープラーニング」と呼ばれる自力学習をする「子どものAI」と、人が一から教えて丸暗記させる「大人のAI」に分かれます。
 同じAIといえども、両者でどれほどの違いが出るのかは、第1回連載の中で「子どものAI」であるGoogle翻訳と、「大人のAI」である別の翻訳サービスに同じ英文を日本語に翻訳させて、まったく異なる結果になるケースを紹介していますので、そちらを併せてお読みいただけたら幸いです。