5月に開催したシンポジウムで
姑息な「リスクヘッジ」か

 もちろん、そんなことは朝日新聞社の幹部たちもよく分かっているので、あの手この手で「夏の甲子園」と、自分たちの言論活動に整合性がとれるように、涙ぐましい努力をされている。

 今回の「お前らが炎天下で運動するなとか言うな」という批判もしかりで、彼らなりにちゃんと先手を打っている。

 それが5月27日に朝日新聞社主催、日本高等学校野球連盟後援で開催されたシンポジウム「スポーツと熱中症」だ。ここでは、日本高野連会長が基調講演を行い、理学療法士の待機などの対策のほか、今年から延長13回以降はタイブレーク制を導入したなど、「熱中症が起こらない高校野球」を目指す取り組みを紹介している。

 また、冒頭の熱中症記事を執筆された中小路徹編集委員がコーディネーターを務めてパネルディスカッションが行われているのだが、そのやりとりを見ると、どうにも「主催者に対する忖度」があるのではと感じてしまう。

 たとえば、中小路編集委員が、「夏の甲子園など、炎天下で試合をすることを変えられないかという質問が会場の皆さんから来ています」と水を向けると、元巨人軍の仁志敏久氏が「なかなか変えにくい。相当な反発もありうるので、その辺は難しいところです」と火消しにかかり、ほどなくすると今度は元ラグビー日本代表の大畑大介氏が「夏は危険、ダメではなく、置かれた環境にしっかりと対応することが大事だと思います」と述べているのだ。

 いずれにしても、このシンポジウムや、それを報道した記事というものが、「お前らが炎天下で運動するなとか言うな」という批判に対する「反論」として、朝日新聞社と高野連が用意したものだというのは明らかであろう。

 体罰やイジメ、炎天下での突然死など、年を追うごとに前近代的な「根性野球」への風当たりも強くなってきているが、朝日新聞からすれば、「夏の甲子園」というキラーコンテンツは絶対に死守しなくてはいけない。そこで、「でも、私たちは熱中症対策はしっかりやってますからね」という情報戦を仕掛けることで、どうにかリスクヘッジをしようとしているのだろう。