プレゼンは誰でもうまくなれる! 博報堂で1000回以上プレゼンして重要案件をつぎつぎ勝ち取ってきた達人が教える、あっけないほどシンプル&簡単なプレゼン・メソッド『博報堂で学んだ負けないプレゼン――3ステップで「刺さる」プレゼンができる!』の著者による連載1回目は、「そもそもプレゼンの中身を考えるのが苦手」という人でもらくらく作れる方法を紹介します。

プレゼンは中身が9割!派手な演出、カリスマ性がなくてもうまくいく刺さるプレゼンの「中身」の作り方

プレゼンは「僕だったらこうするよ」と
教えてあげるのが基本

 自分はプレゼンが苦手だと思っている人の中には、

・大勢の人の前で話すのが苦手
・話す内容を考えるのが苦手
・センスのいいスライドを作るのが苦手

 など、さまざまなタイプがあると思います。
 その中で、連載1回目の今日は、「そもそも話す内容を考えるのが苦手」という人のために、拙著『博報堂で学んだ負けないプレゼン――3ステップで「刺さる」プレゼンができる!』の中から、エッセンスを紹介します。

 よく友だちどうしの気の置けない会話で、「◯◯で悩んでるんだけど、どう思う?」と聞かれたときに、少し考えて、「僕だったらこうするかも……」あるいは「こうしたらいいんじゃない?」と言いますよね。
 相手の話を親身に聞いて、考えて、「僕だったらこうするよ」と言う。

 プレゼンって、まさにこういうことです。
 相手の立場で考えて、自分なりの答えを出して、それを相手におすすめしてあげる。

 だから、なにも仰々しく「今、御社を取り巻く市場環境は……」とか、「できる企業はこうやっています。一方、御社の場合は……」など、上から目線でキメなくても大丈夫です。
 大事なのは、プレゼン相手が何に悩んでいるのか、何を求めているのかを、親身になって深く考えることです。

 深く考えるために、私がおすすめしているのは、思ったことを書き出すことです。
 紙&ペンでも、パソコンでもいいので、相手が悩んで(求めて)いることと、それを聞いて自分がどう思ったか、解決策として思いついたことなどをなんでも書いてみます。 

 これが最初のステップ(ステップ1)です。
 この段階では、独りよがりでも、素人考えでもかまいません。とにかく何でも書いてみます。

 むしろ、素人考え大歓迎です。
 私の元いた博報堂では「生活者発想」といっていますが、あなたも「生活者」の一人ですよね。生活者の視点で見えることって、とても貴重で重要なヒントを内包していることが少なくありません。

ステップ2は「へえ~、そうなのか!」と驚くためにする

 さて、もう書くことがなくなったら、次に、周りの人、この件にちょっと詳しそうな人、関係者(に近い人)などにリサーチしてみましょう。
 これがステップ2です。
 インターネットや図書館などでも調べてみましょう。
 現場も見ることができればベストですね。

 ポイントは、自分の考えを、書くことで十分はき出してから、リサーチすることです。
 ステップ1を経ずに、ステップ2(リサーチ)から始めてしまう人がいますが、これは失敗のもとです。
 なぜなら、プレゼン相手のために、親身になって心底考え抜くことが大切なのに、最初にリサーチから入ってしまうと、自分の頭で考えることがおろそかになってしまうからです。

 自分の頭で考えることを端折ってしまうと、あとでプレゼンの原稿を作るときや実際に人前で発表する際に困ることになります。
 このあたりについては、この連載の何回目かで解説したいと思いますが、とにかく、まず自分で考える(ステップ1)、そしてリサーチする(ステップ2)ようにしましょう。

 このステップ2では、自分はこう思っていたけど、調べてみたら「へえ~、そうなのか」と思うことが大事です。ここで「へえ~」「なるほど~」「そうなの!?」と思った・驚いたということが、のちのち発表するときに効いてきます

 調べてわかったことは、ステップ1で書いた紙(私は紙メモと呼んでいます)に書き込みます。そして、まちがっていたことを消したり、新しく浮かんだアイデアを加えたりして紙メモを修正していきます。

 修正した紙メモをもとに「ロジック整理チャート」(と私が読んでいるもの。詳しくは『博報堂で学んだ負けないプレゼン』をご覧ください)に書き写してステップ2は終了です。

 プレゼンの中身作りは3ステップで終了します。残りのステップ3については、次回、この連載の2回目でご紹介しましょう。

須藤 亮(すどう・りょう)
株式会社TOM 代表取締役社長
1980年早稲田大学法学部を卒業、同年博報堂に入社。以来、マーケティング職、ストラテジックプラニング職として35年間現場で、トヨタ自動車、花王、KFC、JT、味の素、全日空、マクドナルド、アステラス製薬など様々な業種の得意先を担当。途中、日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)にアイスクリームのブランドマネージャーとし2年間出向。2001年からタイのバンコクを皮切りに海外赴任生活に入る。博報堂アジア・ブランディング&ソリューション事務所を立上げ、その後、香港、広州、北京と渡り歩き、博報堂での後半15年は、日本一のトヨタ自動車をクライアントとし、電通との一騎打ちに奔走。2013年に帰国。2015年に退社し、株式会社TOM(トップ・オブ・マインド)を設立。
現在、共同ピーアール株式会社顧問。様々な企業のコンサルティング、地方創生業務などに従事している。