フランス代表を優勝に導いた名言

 王座に輝いたフランス代表。
 プレーの切れ味は世界一でしたが、コトバの切れ味も世界一でした。

 W杯開催まえ、ウムティティ選手はこう語りました。

◯「ぼくらは自分たちで、歴史に足跡をのこさないといけない」

 戦う覚悟と、絶対に勝ってやろうという強い意志が伝わってくる、強い強いコトバです。
 このコトバとともに、フランス代表のW杯が始まったのです。

 ウルグアイ戦で、決定的シュートをきめたバラン選手。
 試合後のインタビューでは、こう語りました。

◯「うまくいかなくても諦めない。それでぼくはうまくいった」

 実は、バラン選手は、所属クラブで一年半、代表で三年間無得点だったといいます。
 結果が出なくとも、ただただ諦めず、ひたむきに努力を重ねた彼だからこそ、このコトバが出たのでしょう。

 そして、一勝一勝積み重ねていったフランス代表は、ついに決勝戦をむかえます。
 優勝をかけた試合の直前、ロッカールームには緊迫した空気が流れていました。
 国を背負い、勝つか負けるかの戦いをするプレッシャーは、計り知れないもの。
 一流のプレーヤーであっても、緊張と不安が心に渦巻いていたことでしょう。

 そんなとき、フランス代表の司令塔、ポール・ポグバ選手は、チームメイトたちにこう声をかけたといいます。

◯「俺たちの夢を叶えるまで、あと90分だ」

 その場にいなかった当事者でない人さえ、心が震えてしまう、そんなコトバです。このコトバで、フランス代表の士気が一気に高まったのではないでしょうか。

 ちなみに、このコトバ。
 うまいのが、「90分」という具体的な数字を出しているところです。
 実は、「数字」をコトバに入れると、それだけで説得力が増すのです。
 この伝え方の技術を「ナンバー法」と呼んでいます。

「俺たちの夢を叶えるまで、あと少しだぞ」

 でも意味は伝わるのですが、

◯「俺たちの夢を叶えるまで、あと90分だぞ」

 の方がずっと記憶に残るのです。

 ポグバ選手のコトバ通り、夢を叶えたフランス代表。
 その優勝会見では、こんな一幕がありました。
 チームのエースであるアントワーヌ・グリーズマン選手が、記者たちの前でこう言いました。

◯「だってフランスが好きなんだもん!美味しいものを食べられて、いい人生を送れて、風景も美しくて、みんな美しくて、(記者たちに向かって)あなた方も美しい!」

 自国を愛する気持ちを、茶目っ気たっぷりに伝えるグリーズマン選手。
 このコトバには、誰をも笑顔にしてしまうパワーがありました。

世界を驚かせたクロアチア代表のコトバ

 まさかの決勝進出を果たして、世界を驚かせたクロアチア代表。

 選手たちのプレーもさることながら、監督のダリッチ氏のコトバも光っていました。
 激闘の末、強敵のイングランドをやぶった試合のあと、ダリッチ監督はこう言いました。

◯「普段わたしは泣くことはないが、今はちょうどいい理由があるね」

 「涙がでるほどうれしい」という気持ちを、サラッとこんな洒落たコトバにしてしまうなんて、驚きます。

 クロアチアは、決勝で負け、惜しくもワールドカップに手が届きませんでした。
 試合後のインタビューでは、ダリッチ監督はこうコメントしました。

◯「これも人生、これがサッカーだ」

 このコトバは、今回の大会で多くのサッカー選手や監督が口にしてきたコトバです。
 W杯に出場している、選手や監督にとって、サッカーこそが全てであり、人生と等しいくらいのものだったのでしょう。

 代表のルカ・モドリッチ選手は、その活躍が認められ、MVPに輝きました。
 MVPを獲得したとき、こうコメントをのこしました。

◯「とてもほろ苦く、悲しいよ」