恋愛経験ほぼなし
セックスレスの果てに……

 Aさん(29歳男性)は純朴な青年であった。女性と話すのが不得手で、中学時代に3年間片思いしていた相手とは、恋に落ちた瞬間の「そっち押さえててくれる?」という会話以外の言葉を交わすことなく卒業に至った(掲揚されていた校旗を2人で畳んだ際に恋に落ちた)。

 高校に入学してすぐ、Aさんはクラスのある女子から突然「付き合って」と言われ、混乱と恍惚の中で了承するものの、進展が微塵(みじん)もないまま2日後に「うちら合わないね」と別れを告げられてしまう。

 当時を振り返ったAさんによれば「相手の女子は高校デビューで、『ついに憧れの高校生活到来!』で舞い上がっていたような感じで、しばらくは台風の目となってクラスの男子たちをかき回していました」とのことである。

 この出来事をきっかけに女性全般を恐れるようになったAさんは、似たような別の理由で女性恐怖症を患った文化部の男連中とキャッキャしながら、女子生徒から距離を置いて3年間を過ごした。

 大学になり、同じゼミに在籍するおとなしめの女子学生と徐々に懇意になり、2年次に交際をスタートさせる。その後卒業、就職を経て、2人の穏やかな交際は社会人3年目でゴールインに至った。

 さて、いよいよ順風満帆な新婚生活がスタートするかと思いきや、Aさんには少し不満があった。

 夫婦生活の回数が少ないのである。Aさんの求めは「疲れているから」と断られることが多くなり、週に1回が隔週1回となり、月に1回、ふた月に1回となっていった。付き合ってから満6年が経過しており、かつてほどの情熱が2人の間に残されていたわけではなかった。

 子づくり強化期間では排卵日の前後に義務的な夫婦生活が持たれたが、ふた月目でめでたく懐妊し、やがて母となった妻は子育てに懸命でAさんを相手している余裕などなさそうである。求めを断られるたびに傷つき、また断る相手も気苦しかろうと、Aさんは妻に夫婦生活を持ちかけることをしなくなり、以降年に一度営みがあるかないかというほぼ完全なセックスレスとなった。

 しかしAさんの性欲が消えたわけではない。