毎回、同じことを細部を含めて説明しないと行動に移せない人が増えている。相手から依頼された予期せぬことに対応できず、ひとりよがりな仕事の枠組みを固定してしまう、「閉じてしまった人」だ。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

備品補給すらスムーズにいかない
ベテラン社員Oさんの謎

言われたことしかやらない人に困っているビジネスパーソンは多いはず
イレギュラーな対応を嫌がり、自分のルーチンの枠内に閉じこもるタイプの人がいる。この手の「閉じてしまった人」に対しては、いら立ちをぶつけても無駄である Photo:PIXTA

 数年来、能力開発プログラムを実施しているZ社のベテラン社員で、担当窓口になって備品準備などをしてくれているOさんは毎回、「何かあれば遠慮なくおっしゃってくださいね」と言ってくださる親切な人だ。

 ある日、「演習で使わせていただいている付箋、今回で在庫がなくなりそうなので、次回までに準備しておいていただけますか?」と申し上げた。備品はZ社で準備してくださるという申し合わせになっていたので、「はい、わかりました」という返事でご準備いただけるものと思っていたら、意外な答えが返ってきた。「予算がないので、お断りしてもよろしいでしょうか」という。

「何年かにわたり実施してきたので、どの程度の備品が必要かはわかっていらっしゃるはずだし、何か新たな事情があるのだろうか」と思いつつ、「Z社が難しいと言うのであれば持参してこよう」と思い、できるだけ穏やかに、「次回は1ヵ月後なので、まだ時間はあると思いますが、ご無理なければお願いできればと思ったのですが、難しい事情が出てきたのですか」と聞いたら、それは、「上司である部長と話してください」と言う。

 また、別の時にホワイトボードにマーカーがなかったので、「もしよろしければ、次回はマーカーを用意しておいていただければ助かります」と依頼したら、次回、ホワイトボード1台につき8本ものマーカーが置かれていた。念のため直前に確認したら、うち6本がすでにインクが切れて書けない状態のマーカーだった。

「すみませんが、新しいマーカーがあれば使わせていただけますか?」とお願いしたら、「あったかなあ…」と言いながら、キャビネットを物色し、何本か出してくれた。キャビネットの奥に、ずっとしまい込まれていたようだったので、嫌な予感がした。案の定、その場で書こうとしたら、インクが浸透していない状態のマーカーだった。その後1分ほどノックを繰り返し、書ける状態にしてからプログラムを開始した。