プレゼンは誰でもうまくなれる!博報堂で1000回以上プレゼンして重要案件をつぎつぎ勝ち取ってきた達人が教える、あっけないほどシンプル&簡単なプレゼン・メソッド『博報堂で学んだ負けないプレゼン――3ステップで「刺さる」プレゼンができる!』の著者が、「そもそもプレゼンの中身を考えるのが苦手」という人でもらくらく作れる方法を紹介する連載2回目です。

プレゼン作りを助けるフレームワーク<br />「リボンフレーム」を活用しよう

リボンフレームで
課題を1つに絞り込む

 プレゼンの中身を考えるのが苦手、という人のために、3ステップでできる骨子の作り方を紹介します。
 前回は、ステップ1とステップ2を解説しました。

 ステップ1では、思いついたことをとにかく書き出しました。
 ステップ2では、関係者(に近い人)や詳しい人に聞いたり、現場へ行ってみるなどしてリサーチをしました。
 リサーチの結果は、ステップ1で書いた紙メモに反映させます。
 間違っていたことは消して、新たにわかったことや思いついたことなどを書き加えていきます。

 ステップ3では、ステップ2で完成させた紙メモの発展形(ロジック整理チャート)を使って、プレゼンで発表する内容の骨組みを決めます。
 ここでは「リボンフレーム」というフレームワークを使います。

 リボンフレームは、
(1)問題点や強み
(2)課題
(3)戦略
(4)理由
(5)解決策
 の5つのスペースに分かれています。

 ステップ2で完成させた紙メモの発展形に書いたことを、(1)問題点や強み と (5)解決策 のところに書き写します。

 たとえば、「人気のないお店を繁盛店にする方法」がプレゼンのお題だったしましょう。
 「この店のこういうところがダメだな」とか、「でも、ここは魅力だな」とか、ステップ2までに書いた問題点(ダメなところ)と強み(いいところ)を、(1)のスペースに書き写しましょう。

 また、「こうしたらいいんじゃない?」と思いついたアイデアも、ステップ2までにいくつか書いていると思います。それを、(5)のスペースに書き写しましょう。

 ここまでは、ステップ2までに書いたものを(1)と(5)に書き写すだけなので簡単ですね。

 さて、書き写したら、しばらく(1)を眺めてみましょう。
 もともとステップ1で書いた「思いつき」がベースになっているので、いろいろ雑多なことが並んでいるのではないでしょうか。

 そこで、次にするのは、(1)に並んでいる雑多なものを眺めて、課題を1つに絞って、それを(2)に書き込むことです。
(1)を見て、まとまるものはまとめて、重要じゃないなと思うことは捨てて、なんとか1つに絞り込みます。

 この絞り込みが、難しいところです。
 でも、よいプレゼンにするには、課題が絞り込まれていることが大切です。
 あれもこれも伝えたいでは、相手の心に響かないし、わかりにくくなってしまいます。

 絞りこみの方法は、最終的には、自分で「決断」するしかありません。
(1)を眺めて、どれが一番のポイントなのか、あなたが決断して、(2)に書き込みます。

 ここで重要なことは以下の2つです。

・絶対にステップ1、2を端折らない
 ステップ1、2を経ずに、いきなりステップ3のリボンフレームから書きはじめるのは禁止です。
 ステップ1、2を経ることで、お題についてよく考え、よく理解できているからこそ、課題を1つに絞る「決断」ができるのです。
 よく考えた「あなた」だから、ここでエイヤで決めてもいいのであって、闇雲にカンで決めるのとは違うのです。

・絞り込む勇気を持つ
 課題が絞り込まれていない、あれもこれも言いたいタイプのプレゼンは失敗します。
 プレゼンのカリスマレベルの人なら、複数のことを相手の注意をそらさず、相手の頭に残るようにうまく全部伝えきれるかもしれませんが、普通の人には無理です。
 訴えることは1つで十分。
 「課題はずばりコレです!」と言えるから、声や目にも自信が出て、説得力が増します。

 以上が課題の絞り込み方のプロセスですが、もう少し詳しく、事例で知りたい方は、拙著『博報堂で学んだ負けないプレゼン』をご覧ください。街の床屋さんの再生や、新手のコーヒーチェーンを作るといった事例で、課題の絞り込み方を解説しています。

 課題の絞り込みまでできたら、一つのヤマは越えました。
 次の作業は、「ロジック3点セット」というフレームを使って、説得力ある主張ができるようにすることです。

 次回は、これについて解説できればと思います。

須藤 亮(すどう・りょう)
株式会社TOM 代表取締役社長
1980年早稲田大学法学部を卒業、同年博報堂に入社。以来、マーケティング職、ストラテジックプラニング職として35年間現場で、トヨタ自動車、花王、KFC、JT、味の素、全日空、マクドナルド、アステラス製薬など様々な業種の得意先を担当。途中、日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)にアイスクリームのブランドマネージャーとし2年間出向。2001年からタイのバンコクを皮切りに海外赴任生活に入る。博報堂アジア・ブランディング&ソリューション事務所を立上げ、その後、香港、広州、北京と渡り歩き、博報堂での後半15年は、日本一のトヨタ自動車をクライアントとし、電通との一騎打ちに奔走。2013年に帰国。2015年に退社し、株式会社TOM(トップ・オブ・マインド)を設立。
現在、共同ピーアール株式会社顧問。様々な企業のコンサルティング、地方創生業務などに従事している。