仲がいい人たち同士、特に食事の席では、向かいにいる人にたばこを“投げて”勧めることも多い。投げられた側がうまくキャッチしたら、相手からの“好意”を受け取った、との合図でもある。たばこを投げられた相手は「仲間として認められた」という意味であり、日本のヤクザ映画でいえば「義兄弟」のような存在であろうか。

 筆者は仕事の関係で、日本人と中国人の会食の場に同席することが多い。

 大体、最初はちょっと仕事の話をし、その後少し座が和んで来たら、中国人側からは日本人側にたばこを勧め始める。お酒の勢いもあって、中国流にたばこを投げてくることも度々である。

 当然、日本人はびっくりするが、たばこを受け取ると、中国人がライターで火をつけてくれる。その時点から、双方の「友好」ムードが一気に高まり、その後肩を抱き寄せ、ピースのポーズで記念写真を撮るのだ。

 この時のたばこは「外交の潤滑剤」の役割を果たしているのは間違いない。

富裕層向けの数十万円の超高級たばこも
贈答品はたばこが一番無難

 中国では、贈答品として、たばこが一番無難とされている。

 都会は少し違うかもしれないが、結婚や引っ越しなどお祝いする際、あるいはお世話になる人へのお礼として、たばこが大活躍する。むろん、たばこを拒絶する人はいない。中国では「吸う人は買わない、吸わない人が買う」という“皮肉”を示す言葉があるぐらい、たばこは人間関係の「礼」としての出番が多い。

 ちなみに、先月、筆者が上海へ出張行く直前に、上海にいる同級生から「空港の免税店でたばこを買ってきてほしい。お母さんが入院していて、主治医にあげるから」と頼まれたのであった。

「え?お医者さんにたばこを?」と、筆者は日本の感覚で驚いた。ちなみに、その時に買ったのは、赤いソフトケースの「中華」だった。

 中国では、たばこが持ち主の身分や階級を表す時もある。

 中国のたばこの種類の多さは世界中に類を見ない。そして、その値段もピンキリである。「日本のたばこの値段は銘柄が変わってもほとんど同じだね」というのが、来日した中国人喫煙者の感想である。

 生活が豊かになるにつれ、高級たばこも増えてきている。