そもそも「優秀な運用のプロ」を雇えるのか

 例えば、ある地方銀行が運用を強化するために、外部から1名か2名、運用会社を始めとする金融機関で大きな資産の運用に関わったことがある「プロ」を雇おうと思ったとしよう。

 主に、東京方面の人脈に紹介を依頼するかもしれないし、人材紹介会社(いわゆる「ヘッドハンター」)に人材探しを頼むのかもしれない。このような人材探しで望むような人材を採用できるだろうか。

 筆者の印象は、「運がよければ(50%をかなり下回るくらいの確率で)、採用できる」が、このような人探しはまだ、マシな方かもしれない。筆者がもっと危惧するのは、地方金融機関が日頃、取引のある証券会社や投資顧問会社、あるいは経営的に縁のあるメガバンクのグループなどに運用人材の紹介を依頼するケースだ。

 後者の場合、例えば証券会社(ないしその子会社の投資顧問会社)のとても運用のプロとは言えないOBなどを紹介されることが心配だ。運用の知識・技術が不十分であることに加えて、将来、紹介者(もしくは紹介社)と癒着することも気がかりだ。

 そもそも、1人で運用計画を策定できて、リスク管理の仕組みなどもアドバイスできるような(注:リスク管理の責任者は運用部門からは独立しているべきだが)見識のある人材が、おそらくは、(1)ネームも劣れば、(2)仕事も小さく、(3)多分報酬もよくなく、そして(4)周囲の理解と協力を得にくいであろう、地方金融機関に移籍するだろうか。

 個々人の能力と事情には大きな差があるので一概には言えないが、いい運用人材の採用自体が相当に難しいと考えることが、多くの金融機関にとって妥当だ(実は、メガクラスの金融機関でもそうなのだが)。

 加えて、いい人材に出会ったとしても、本人に納得してもらえる経済的提示ができるか、入社してもらった場合でもその人が上手く組織に定着できるか、さらにその人に対して十分なコントロールを利かせることができるかといった、「人事管理」一般の問題が残る。そして、これは日本の金融機関があまり得意としない分野だ。

 なお、数人くらいの運用チームをまとめて採用すると、仕事の立ち上がりは早いが、リスク管理と人事的なコントロールはますます難しくなる。チームで採用した人材は、チームで辞めていくリスクが大きいといった問題もある。