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拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。第50回の講義では、「技術」に焦点を当て、新著、『東大生となった君へ―真のエリートへの道』(光文社新書)において述べたテーマを取り上げよう。

コミュニケーションの80%は「非言語的」

 前回まで、急速な人工知能の発達と普及が多くの知的労働を代替し、これまでの学歴社会が崩壊する時代が到来することを述べた。そして、その時代において、我々が「活躍する人材」であり続けるためには、「職業的能力」「対人的能力」「組織的能力」の3つを、これまで以上の水準に高めていかなければならないことを述べ、特に「職業的能力」をいかに高めるかについて述べた。

 そこで、今回は、第2の「対人的能力」をいかに高めるかについて、述べよう。

 では、「対人的能力」とは何か。

 それは、一言で言えば、「傾聴力」と「伝達力」のことであり、「相手の考えや気持ちを深く理解する力」と「相手に自分の考えや気持ちを円滑に伝える力」のことである。

 ただ、こう述べると、多くの読者は、「ああ、コミュニケーション力のことか」と思うかもしれない。

 たしかに、それは、広義の「コミュニケーション力」のことであるが、実は、それは、多くの書籍や雑誌で語られている「読み方」や「聴き方」、「書き方」や「話し方」のことではない。

 もとより、そうした能力は大切ではあるが、その力は、「コミュニケーション力」という意味では、実は、極めて初歩的なものにすぎない。

 なぜなら、実は、コミュニケーションの80%は「ノンバーバル」だからである。

「ノンバーバル」とは、「非言語的」という意味。すなわち、コミュニケーションの専門的研究によれば、我々のコミュニケーションの80%は、言葉によるものではなく、眼差しや目つき、表情や面構え、仕草や身振り、姿勢やポーズなど、言葉以外によるものである。

 逆に言えば、言葉によるコミュニケーションは、コミュニケーション全体の20%程度にすぎない。さらに低い割合、7%程度という研究者もいる。

 いずれにしても、コミュニケーションの大半は、「ノンバーバル=非言語的」なものであることを、我々は、深く理解しておく必要がある。

 そして、それを理解したならば、我々は、次の2つの問いを、自問しなければならない。その自問を通じて、自分自身の「コミュニケーション力」を振り返ってみる必要がある。