茨城県在住の元小学校教諭は、退職後の地方移住を機に引きこもる人々との交流に飛び込んだ。草の根的に取り組みを進めてきた、その心意気とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

小学校教諭を退職後に地方移住
当事者や家族との対話に飛び込む

 今回は、ある元小学校教諭の取組みを紹介したい。

 茨城県の鹿行(ろっこう)地区で「ひきこもり・不登校 つながり・考える鹿行の会」世話人を務める小林幸弘さん(69歳)だ。鹿行とは、鉾田市、鹿嶋市などの県東部5市のエリアを指す。

 小林さんは、一般市民の立場から、まず「引きこもる当事者や家族の“声”“姿”を知ることが、最初の第一歩」と考え、当事者や家族と一緒に、地域で「対話交流集会」を継続開催しながら、当事者たちの思いを具体的な施策に生かしていけるよう、家族会の立ち上げにも協力している。

 もともと、東京都で約40年勤めた小学校教諭を退職後、「メロンの街」鉾田市に惹かれて移り住んだ。どんな街づくりをしていくか――。市民数十人が集まって歴史などの学習会を開いていた。

 そんな地域の息吹を感じていたとき、筑波大学教授の斎藤環氏の登壇する「ひきこもり」講演会が目に止まり、「教員だったので、気になって」行ってみた。会場では、KHJ全国ひきこもり家族会連合会が「ひきこもり対話交流会を全国キャラバンしていく」という説明をしていた。

 その対話交流会の「ファシリテーター養成講座」開催のチラシを見て、「自分でも何かしなきゃ」と申し込んだ。

 都内で開かれた講座には、茨城県内の引きこもり当事者たちも参加していて、地元での対話の場を望んでいた。

 講座は1日かけて行われ、「ひきこもりフューチャーセッション庵-IORI-」のファシリテーターたちが講師を務めた。夕方頃になると、県内の参加者たちで話し合う機会があり、「翌月、みんなで集まろう」ということになった。

 こうして生まれた「茨城県対話交流集会実行委員会」には、当事者や家族、ファシリテーターも含めて10人あまりが参加。昨年2月、土浦市で対話交流会が実現した。