この協議は、麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領の2人が議長を務める日米経済対話の「下部組織」という位置づけだが、米国はすでにFFRを「日米自由貿易協定(FTA)」交渉の場とすることを提案してきている。

 FTAとなれば農業分野の一層の自由化が最大の焦点になることは避けられそうもないが、来年に参院選を控えた日本は簡単にのめない。

 このため、米国は、232条による自動車への追加関税と日米FTAを、関連付けてくる可能性がある。つまり制裁関税の解除条件をFTA締結にするわけだ。

 仮にFTA交渉になれば、現在、米国がかけている乗用車への平時の関税率2.5%(ライト・トラックは25%)の引き下げを日本側から提起できる面もある。

 実際、環太平洋連携協定(TPP)では、米側に有利な条件ながらも米国の関税引き下げに一歩を踏み出せた。 最終的には安倍晋三首相の判断だが、日本がFTA交渉に応じる可能性もゼロではない。

 だが農業分野の市場開放は政治的に最も抵抗が強い問題だ。一筋縄ではいかないだろう。

政治構造は大きく変化
共和党=自由貿易主義は過去のこと

 今年11月に中間選挙を控えた米国では、政治力学はかつてと大きく変わっている。

「今の共和党は完全に変わった。2000年代初頭に台頭したティーパーティーたちが大きな影響力を保持している。昔のような感覚で米国政治を見ていると間違う」

 民主党政権下で米政府の通商関係官庁で中堅幹部だった元当局者はこう言って、「共和党内には自由貿易主義者が多数いるので、最終的には何とかなるのではないか」との楽観論をいさめる。

 日本では「貿易戦争」というと、1980年代から90年代にかけての日米摩擦を思い浮かべる人が多い。

 この時、自動車や半導体などのさまざまな分野で生じた摩擦は、米国内では次のような経路をたどった。

 日本との競争に敗れる→その企業や業界団体が政治家にロビイングで働きかける→労組も主に民主党へ働きかける→米政府も動き出し、米通商代表部(USTR)などが日本に圧力をかける――というパターンだ。

 しかし、当時、共和党の指導者層にいた議員には自由貿易主義者が多く、議会で審議されていた対日制裁法案の内容が緩和されたり否決されたりすることもよくあった。