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世界で関税をめぐる攻防
自動車関税の現状は?

 中国政府は今年5月に「7月1日付で乗用車の輸入関税を15%に引き下げる」と告示した。一方、米国は、鉄鋼・アルミ製品に関税をかけ、これに続いて自動車の関税を25%に引き上げることを検討中だ。また、EU(欧州連合)は、鉄鋼とアルミ製品の関税に対抗する措置として7月以降に米国製品に対し28億ユーロ(約3600億円)規模の関税をかけるという報復策を発表した。いま、世界の経済界は関税にまつわる話でもちきりだが、自動車の関税はどうなっているのだろうか。現状を見てみよう。

 関税は輸入品にかけられる。その最大の目的は国内産業の保護だ。輸入品の流入で国内産の商品が売れなくなったり大幅に売り上げが落ちてしまったりしては、国の利益にならない。世界的に関税がかけられている例が多いのは農産物だ。国内の農家を保護し、食料自給率の低下を防ぐためだ。同様に畜産物(肉)にも関税がかけられる場合が多い。

 工業製品で関税の対象になっている代表例といえば、クルマである。自動車産業は“国家の総合力を示すバロメーター”といわれる。エンジンの中で行われている燃料と空気の燃焼は化学反応であり、その燃焼を回転力に変えるピストンは精密鋳造部品、カムシャフトやクランクシャフトは精密機械加工部品である。これを完全に国産化できるかどうかが自動車産業の基礎的な技術力である。そしてボディに使われる鋼板や足回り部品などに使われるアルミ材、電子部品、ガラスなど、さまざまな分野の工業製品が合体してクルマになる。