筆者が出走した東京マラソンのスタート地点
2018年2月25日に筆者が出走した東京マラソンのスタート地点

マラソンが巷間のブームとなって久しい。毎週のように各地で本格的なフルマラソンの大会のほか、気軽に参加できる距離の短いファンランなどが開催され、老若男女が出走している。そして、実際に出走してみて気付くのが、中高年ランナーが多いということだ。エリートランナーが出走する国際大会などは別だが、フルマラソンでも70~80代のランナーは珍しくない。もちろん、若い頃から続けているランナーもいるが、中高年になってから始めたという声も聞く。筆者の体験を交えながら、中高年がマラソンにハマっていく理由を探った。(ジャーナリスト 戸田一法)

動機はありがちな「健康のため」

 筆者がジョギングを始めたのは、健康診断で「メタボ」の烙印を押されたことがきっかけだった。元高校球児ながら引退後はめっきり運動する機会が減り、若気の至りで暴飲暴食の日々に明け暮れた。仕事も残業続きで生活は不規則に。20歳の頃から体重は増えていき、30代で体重は1割増、40代でさらに1割増と、体内脂肪は順調に育っていった。

 そして、40歳で受診した健康診断で医師に「このままじゃ還暦を迎えられませんよ」と脅される事態に。さすがに怖くなった。問題は中性脂肪と脂肪肝。ここで「脂肪はアブラ。アブラなら燃やせばいい」と一念発起し、ジョギングシューズを買うためスポーツショップに駆け込んだ。

 ところが…である。気持ちと裏腹に、脚が前に進まない。

 何とか脚を前後させるが、歩くスピードと何ら変わらない。さらに1キロも走っていないのに、動悸が激しくなり、呼吸がありえないぐらい苦しい。額から脂汗が出て、めまいでその場にしゃがみ込んだ。長年の不摂生で心と体に染み付いた贅肉という、非常に残酷な現実を突き付けられる憂き目にあってしまった。

 ここで初めて自分の健康状態と体力を思い知る。「焦ってはダメ」と自覚し、苦しくならない程度の速足からスタート。少しずつ距離をのばしていく作戦に変更し、決して無理はせず、まともに走れるようになるまで長期戦で取り組むことにした。