規模を大きくするには、中途採用を進めて優秀な人材に活躍してもらう必要がありますが、そのためには人事の仕組みを整備し、活躍すれば報われるといった形にしなければなりません。

 しかし様々なルールが整備されると、過去の自由さを失うことに対する抵抗が起こることも多々あります。加えて、近年の労働人口減少により、中堅企業は常に人材不足に悩まされており、社員の高齢化や、技術継承の停滞に直面しています。

 ヤマシンフィルタにおいても、こういった人に関する課題は、例外ではなかったはずです。

 では、いかにこれらの課題に向き合ったのでしょうか。

最初に取り組んだ人事改革は、
「人事評価」と「賃金体系」

 私は以前、ヤマシンフィルタの取締役を務める井岡周久氏と人事改革について対談をしたことがあります。

 井岡氏は、2012年にヤマシンフィルタに入社し、IPOとその後の躍進を支えただけでなく、人材面の課題が経営を左右することをいち早く認識し、常識を覆すような創意工夫あふれる改革を進めてきていたことを知り、大変驚きました。

 井岡氏が最初に取り組んだ改革は、「人事評価」と「賃金体系」です。

 ヤマシンフィルタは創業以来60年間、一度も人事評価制度や賃金体系を変えていませんでした。多くの企業でも導入されている職能資格制度によって、在籍期間が長ければ、賃金が上がり続ける仕組みでした。

 しかし、中途採用の社員が増えてくると、彼・彼女らをきちんと処遇していかなければなりませんし、若手が活気をもって力を発揮できる会社にしていくためには、頑張った人が頑張っただけ見返りのあるような仕組みに変えていかなければなりません。

 そこで、管理職も含めて抜本的に評価制度を見直し、毎年の成果を処遇に反映するようにしました。また、「長年在籍しているから管理職になる」というのではなく、人のマネジメントが苦手な人には専門家としての処遇をきちんとできるような制度をつくりました。

 それによって、年功序列を廃止して、飛び級もありの、若い人にもチャンスがある企業へと変わっていったのです。