ヤマシンフィルタの驚くべき人材獲得手法
「就職活動以外」で学生と接点を作る

『人事こそ最強の経営戦略』
南和気さんの新刊『人事こそ最強の経営戦略』

 さらにヤマシンフィルタでは、新卒採用においても、新しい試みを行っています。

 いかにヤマシンフィルタが優れた企業であっても、日常的に目にする製品を作っているわけではないので、学生が同社のことを詳しく知る機会はなかなかありません。特に就職活動中ともなれば、学生の目は大企業に向きがちになり、就職活動の際の学生との接点は非常に限られます。そこで、学生との間に、就職活動以外で接点を作っていく取り組みを始めたのです。

 ヤマシンフィルタでは、個人投資家を呼び込むIRフェアなどで落語の舞台を用意し、大学の落語研究会を招いてプロも一緒に大喜利や落語を行っています。その様子はYouTubeでもライブ中継し、大学別でコンテスト形式にしています。

 当然珍しいので、ブースへの立ち寄りが大幅に増加すると同時に、実は、落語研究会の学生たちとも強いつながりを持つことができるという効果もあります。

 大企業であれば、就活イベントで大規模に出展したり、またインターンで多くの学生を受け入れたりということもできますが、そういう方法に頼らずとも、企業が学生との接点を効果的に作っていくことは可能であることが分かります。

 最後に、井岡氏との対談で、非常に印象深く記憶に残った言葉を紹介しましょう。

「私は、どうなったら職場が楽しくなるのか、自分の能力を存分に発揮できる場所はどんな状態だろうか、といったことを常に考えています。そして、そうなるためには会社はどうすべきかを考えます。このような新たな試みや制度の変革で会社が変われば、社員たちも変わっていきます。だから会社の方をどんどん変えていきたい。取り組むべきテーマはまだまだあります」

 企業が変われば、人も変わる。だからこそ、人を変えたければ企業を変えなければならない。井岡氏の言葉から、中堅企業が継続的に成長していくための重要なヒントを得ることができます。