自分の感性を徹底的に磨き
周囲に合わせるな

板東 ほかには、どんな試行錯誤を?

森川 一番難しかったのはECですね。この分野には先行する企業がたくさんあるので、我々が普通にやっても成功しません。我々の強みが生きる「動画」で勝負するか、もしくは「動画に出演しているインフルエンサー」をうまく活用するか、この2つの軸しか考えられませんでした。

この連載が書籍になりました。森川氏と板東氏の対談も、書籍にはLINE、C CHANNELがなぜ成功したかの詳細や、ここだけの揉めた話、さらには板東氏が森川氏から鋭いツッコミを受ける名場面なども収録しています。『出会いは最大のレバレッジ』(板東浩二著)

 そんななか、動画でスマートフォンユーザー向けのテレビショッピング的なものをやっても最初はうまくいかなかったんです。誰かに言わされているような感じがあると反感を買いますし、「説明が多くてもダメ」「映像がキレイ過ぎてもダメ」で、結果的に「動画を見て“欲しい”と思っていただかないとダメだよね」ということで研究していくと「ビフォーアフターが明確で、動画で見て欲しくなる」商材が人気だとわかったんです。テレビショッピング的ではあるんですが、ここに気づいてから、若い方も買ってくださるようになり、今は結構伸びています。

板東 動画だけに、わかりやすいビフォーアフターが重要、ということですね。

森川 あと、女性は皆さん、きれいなものがお好きですね。写真と動画が流通するようになってから、時代が見た目重視になっているんです。以前は「見た目もいいけど中身も大事」っていう時代が長かったはずで、少し残念な部分もありますが…。

板東 そして、これがロジックでできあがったものではないから面白い。

森川 ええ。事前に必死で考えるんですが、結局、様々な失敗を繰り返しながらユーザーのニーズを見つけてきました。そして、そうするしかないから大変なんです(笑)。

板東 それくらいでないと、新しいものはつくれませんよね。でも、まだまだ日本には「失敗はよくない」とか、そもそも「変わるのはいけないこと」と考えている人間が結構、いますよね。

森川 そういう人には、近寄らないんです(笑)。ムダな戦いをすると、関係が悪くなります。でもまたいつか、どこかで会う可能性もあるじゃないですか。だから「変わるまでそっとしておこう」と思うようになりました。

板東 自分自身が変化を止めてしまう側にならないために、何かすべきことってありますか?

森川 「世の中で言われてることが本当にそうなのか」「社内で常識とされてるけど、本当なのか」と自分なりに検証することですね。みんな何となくそう思っているだけ、って多いですから。

 自分の感性って大事だと思うんです。私も、早いうちにインターネットで事業を始めて、人間のコミュニケーションのとり方、仕事の仕方、ビジネスのあり方が変わり始めるだろうな、ということは強く感じていました。これがその後、LINEの立ち上げに至った部分もありますからね。

板東 なるほど。「何でもやってみて自分の感性を磨いて、周囲の感性には合わせない」、それこそ、森川さんがいままでにないアプリを2つも作ることができた理由なのかもしれませんね。