翌日は、燃えるゴミの収集日。今のうちに不用品を仕分けして出しておこうと、弟夫婦と母親の寝室にあるクローゼットを開けると、百貨店のロゴマークが入った大量の紙袋の下から、10枚以上もの着物が出てきた。

 中には退職金で買ったと言っていた高価な着物もあり、弟の妻は「売ったらお金になる」と目を輝かせている。だが、業者に査定してもらうと、全部で4000円が精いっぱいと言われた。そもそも需要が少ないため、大した値段はつかないことが多いのだという。

 気になったのは、クローゼットの横にある本棚。以前見たときはぎっしり詰まっていたが、半分が空になっている。思い起こすと、母親は昔から切手の収集が趣味で、切手のファイルが本棚にあるはずだが、見当たらない。

 大量の荷物を持っていた妹が、勝手に持ち出したのかと思い連絡したが、「そんなものは知らない」の一点張り。ネックレスなどの貴金属を入れていた箱もなぜか空になっており、弟と顔を見合わせて、ため息をつくしかなかった。

おすすめは四十九日あたりの下見と話し合い

 実家の片づけをめぐって、こうした兄弟間の争いの火種になるような話は枚挙にいとまがない。

 金目の物を勝手に持ち出すのは言語道断だが、幼少期に着ていた衣服など両親との思い出の品を捨てる、捨てないだけでも口論に発展することがあり、厄介だ。

 自分たちで遺品を整理する際の一番のポイントは、兄弟など親族が予定を合わせて、実家をくまなく下見する日を設けること。それまでは勝手に部屋を片づけたり、物を持ち出したりするのはNGだと決めておこう。

 下見の日は、気持ちの落ち着いていない葬式の直後ではなく、四十九日の法要あたりに設定すれば、スムーズにいくだろう。

 その後、ざっくりと実家にある物のリストを作り、自分が引き取る物、捨てる物を話し合おう。作業しながらその都度判断しようとすると混乱するため、片づけ前の話し合いが肝心だ。