元気なうちから人生の終末期や死後の準備をする「終活」が流行していると言われて久しいが、なかでも住まい周りで目立っているのが、親が健在なうちに実家の荷物を片付ける「生前整理」と、亡くなった後の持ち物を処理する「遺品整理」だ。2012年から両方のサービスを提供しているヤマトホームコンビニエンスに、ブームの実態を尋ねた。

生前整理は7万円+税~
潜在的な市場規模は2000億円超!

 親の家の家財や不要品を片付ける生前整理作業は「親家片(おやかた)」とも呼ばれる。初出はシニア女性向け雑誌「ゆうゆう 2012年2月号」(主婦の友社)。親家片を扱った特集は大反響を呼び、そこからヒット本『親の家を片付ける』が生まれた。親の家の荷物をどう扱えばいいのか悩む子世代のニーズを掴み、現在までシリーズ累計15万部を超える売れ行きを記録している。

依頼数が圧倒的に多いのは「遺品整理」。ただし、できればうまく業者を利用しながら、「生前整理」に取り組む方が、遺された家族の負担も少なくて済む

 遺品整理という言葉が世に広まったのは、それより早い2002年頃のことだ。日本初の遺品整理専門会社としてキーパーズ有限会社が設立され、故人が遺していった住まいの問題を片付ける業務に注目が集まった。

 09年頃に様々な企業や団体が乱立し、現在まで新規参入と撤退が各地で繰り返されている。遺品整理業界全体の潜在的な市場規模は一説には2000億円超ともいわれている。

 この2つの業務に物流業界から初めて参入したのがヤマトホームコンビニエンスだ。12年8月に、生前整理や遺品整理を行うサービスを含む「クロネコらくらくおかたづけサービス」を発売。現在はサービス構成がリニューアルされて、住まいの片付けや収納サポートを行う「快適生活サポートサービス」のなかで「生前整理パック」「メモリアル整理パック」として提供している。

「生前整理パック」は持ち物の選別や整理収納、家具の移動と保管、不要品の買い取りなどを行い、料金は7万円+税~となる。「メモリアル整理パック」はそれにくわえて、遺品の供養や行政手続きの代行業務も請け負い、料金は11万円+税~。いずれも品物の量などによって金額が変動する。