「いったい何歳から子どもにはスマートフォンやタブレットを持たせてもよいのか。動画やゲームに依存してしまったり、成長面で問題が出る心配はないのか」。せがまれればためらいながら使わせてはいるものの、漠然と不安と抵抗を感じている親は多い。世界中の子どもの親が直面するこの問題に、科学的にはっきりとした指針はないものなのか。デジタル・テクノロジーが人間にどのような影響を与えるか、とりわけ子どもの成長への影響を発達段階ごとに見ながら、子育ての中での影響を科学的にまとめた話題の書籍『サイバー・エフェクト 子どもがネットに壊される――いまの科学が証明した子育てへの影響の真実』の著者で世界的サイバー心理学者として知られるメアリー・エイケン博士の緊急インタビューをお届けする。(インタビュアー:大野和基)

インターネットの予期せぬ影響は、むしろマイナス面に現れる

――インターネットやテクノロジーの進歩が速いので、私たち人間のほうが進歩についていけないときがあります。ですから、プラスの影響にせよ、マイナスの影響にせよ、インターネットの進化の影響は、誰も正確に予測できなかったと思います。あなたの興味をそそった影響はインターネットのプラスの影響よりはむしろマイナス面で、まさに予期せぬ結果のほうですね。

メアリー・エイケン博士
世界的サイバー心理学者。ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの非常勤准教授
ユーロポールのサイバー犯罪センターのアカデミック・アドバイザー。ロンドンのミドルセックス・ユニバーシティでは犯罪学を教える。サイバーセキュリティ、組織的サイバー犯罪、サイバーストーキング、インターネット人身売買、オンライン上の子どもの権利などが専門。インターポール、FBI、ホワイトハウスなどの仕事にも関わる。子どもの発達とテクノロジー利用に特別な関心を持つ。米人気ドラマ「CSI: サイバー」の主人公のモデルおよびアドバイザーとしても知られる。

メアリー・エイケン博士(以下エイケン) それはいい質問ですね。そもそも私が『サイバー・エフェクト』を執筆したとき、私の観察対象は異なる研究分野をまたぐものでした。さまざまな分野でテクノロジーが人間の行動の根幹と相互作用すると、それによって生じる結果がテクノロジーを通して増幅されたり、エスカレートしたりします。

 ネット上の利他主義やクラウド・ファンディングのように、いい意味での増幅も起こります。しかし私は犯罪科学を勉強したので、そのマイナスの影響にとても関心を持ちました。ですから、サイバー心理学者としての私の仕事は「ワオ!社会がつながることはすばらしい、起業家精神を育むことはすばらしい、教育の民主化もすばらしい」と叫んでプラス面を見ることではありません。

――でもハイテク企業はこれほどすばらしいテクノロジーはないと叫んでいますね。そんなことをしてハイテクのインターネット企業から脅迫されたりすることはないのでしょうか。

エイケン 当然彼らは私のことを気に入らないでしょう。非常にネガティブなコメントを耳にしたことがありますが、大学の研究者であることの長所は、科学者として私は完全に独立しているということです。

 研究資金も企業からもらっていません。100%アカデミック・フリーダムを持っています。大学の運営にも影響されません。別に終身在職権を求めているわけではありませんし。ですから真実を指摘して、人を怒らせることをためらう必要もありません。