健康保険のおかげで、日本では病院や診療所でかかった費用の1~3割を自己負担するだけで医療を受けられる。また、健康保険には毎月の医療費が高額になった場合に患者の負担を抑える「高額療養費」もある。会社員には病気やケガで仕事を休んでいる間の所得を保障してくれる「傷病手当金」もあり、病気やケガを癒し、社会復帰するための手助けをしてくれている。
病気やケガの治療を受けるときの公的保障の中心は、なんといっても健康保険だが、なかには療養が長引いたり、障害が残ったりすることもあり、健康保険だけではリスクをカバーしきれないこともある。
そこで、日本では介護保険や年金保険、雇用保険などの社会保障、税制優遇、自治体のサービスなどが重なり合って、病気やケガをした人の暮らしを支えている。そのなかで、今回は障害が残った場合に様々なサービスを受けられる「身体障害者手帳」について詳しく見ていきたい。
身障者手帳の対象障害は広がり
今は3割の人が内臓疾患
「身体障害者手帳(身障者手帳)」が作られたのは、戦後まもない昭和24年(1949年)12月。基本的人権を尊重する日本国憲法が作られたことで、障害をもつ人への福祉政策が進められるようになり、その具体策として「身体障害者福祉法」が制定された。
身障者手帳は、身体障害者福祉法の第15条で定められた制度で、当初は視力障害、言語機能障害、中枢神経機能障害、聴力障害、肢体不自由の5つが対象だった。だが、その後、複数回の制度改正を経て、内臓疾患による障害にも適用範囲が広げられており、現在は次の障害をもつ人が対象となっている。