日本語でも悩むメールがスラスラ書ける! 総合商社で磨き抜かれた「生きた英語」とは?
「値下げ要求をスマートに断りたい」「代金の未払いをやんわりと伝えたい」「商品をさりげなく売り込みたい」。あなたならどう書きますか?
三井物産の商社マンとして、約40年間、第一線で活躍し、退職後は慶應義塾大学、早稲田大学のビジネススクールで教鞭をとる定森氏の新刊、『人を動かす英文ビジネスEメールの書き方ー信頼と尊敬を勝ちとる「プロの気くばり」』から、内容の一部を特別公開する。
「人を動かす」英語とは?
納品遅延等のトラブルが起こったとき、あなたはどんなメールを送りますか。
商品の入荷遅延の原因は、必ずしも相手に落ち度や責任があるとは限りません。したがって、「貴社が約束の納期を守れないことに失望しました(We were frustrated by your inability to meet the promised deadline for delivery.)」というような一方的に相手を非難するメッセージは、プロとして慎むべきです。
例をご紹介します。これは、納品遅延に対し、業者に対応を求めるケースです。
件名:納品遅延(注文番号 FW-2568)
(ハーヴェイ様、当社の注文番号FW-2568のフランスワイン100カートンの出荷案内を7月28日に貴方より受けとりました。)
(当方は5日前の入荷を前提に、当社の顧客に即納を約束しておりました。)
(各顧客とも一刻も早い入荷を必要としておりますので、遅延の理由と当方の入荷日をご連絡ください。)
(本件については、早急のご対応をお願いいたします。)
メールのポイントを見てみましょう。
早急の対応を求める結びの文について、日本では「Thank you in advance for your prompt attention to this matter.」という表現が勧められます。
しかしこのケースでは、やや事務的でインパクトが弱いので、もう少し相手の積極的なアクションを期待するトーンとして、「We trust that you treat this matter as one of extreme urgency.」のほうがベターでしょう。
名詞句よりも、you treat … as one of extreme urgencyのように動詞を含めた節を使うほうが、こちらの熱意や期待がストレートに伝わります。
発注先に対して、顧客の期待と利益を優先する趣旨で、As our customers need these goods urgently と書くことで、プロとしての「気くばり」を印象づけられます。
Please let us know the cause of the delay and when delivery is expected to be made.(遅れの原因をご連絡いただき、納期の見通しをお知らせください)だけでは、やや強めのトーンになり、不快感を示しているのではないかと受け止められる可能性があります。