日本語でも悩むメールがスラスラ書ける! 総合商社で磨き抜かれた「生きた英語」とは?
「値下げ要求をスマートに断りたい」「代金の未払いをやんわりと伝えたい」「商品をさりげなく売り込みたい」。あなたならどう書きますか?
三井物産の商社マンとして、約40年間、第一線で活躍し、退職後は慶應義塾大学、早稲田大学のビジネススクールで教鞭をとる定森氏の新刊、『人を動かす英文ビジネスEメールの書き方ー信頼と尊敬を勝ちとる「プロの気くばり」』から、内容の一部を特別公開する。
直訳英語に注意!
スケジュールが合わず、アポの日程を調整したい。そんなとき、どう連絡すればいいのでしょうか。
スケジュールが合わないことをおわびする必要はまったくありません。不必要なおわびのメッセージは、相手に奇異な感じを与えたり、その日を指定した相手を気まずくさせるリスクがあります。
さっそく例を見てみましょう。
(件名:8月3日または8月4日に変更)
(リッキーさん、残念ですが、8月1日はオフィスにお伺いすることができません。)
(しかし、私としてはぜひできるだけ早くお会いしたいので、8月3日か8月4日に私のフランス人の同僚と一緒にオフィスでお目にかかることができればと思いますが、いかがでしょうか。)
(いずれかご都合のよい日をお知らせください。お目にかかるのを楽しみにしています。)
さて、ポイントを見ていきます。
面談の日程が合わないとき、I regret that I will not be able to make it to the meetingとするのが最も自然です。I apologize that I will not be able to meet …というおわびは不自然で不適当です。日本語の「申し訳ございませんが」を直訳して、I am sorry but I will not be able to meet …という表現も奇妙に感じます。
代わりの面談日を申し出る場合、「私としてはできるだけ早くお会いしたい」というひと言を添えることによって、面談に対するこちら側の期待の大きさを伝えることができます。おわびよりはずっと前向きな「気くばり」です。「わびる必要(=自分の側に過失や落ち度)」がない限り、その対応策を提案し、自ら実行に移すことが「気くばり」の基本です。
I am wondering if I could visit your officeの文字通りの意味は、「オフィスに伺うことができるかどうか戸惑っています」です。これは「訪問させてもらえるでしょうか」「訪問させてもらえればと思います」という婉曲表現になります。
本来の意図をストレートに表現すれば、I would like to visit your officeです。相手や状況によって、あえてストレートな表現より婉曲表現を使うことで、プロとしての洗練度を示すことができます。
「英語はストレートな言語だから、日本語のような敬語や丁寧表現はない」と思われがちです。しかし実際には、心の機微に気くばりした表現が驚くほどたくさんあります。