質問型営業本がシリーズ10万部のベストセラー。今回は、日本での凱旋講演を前に、『3か月でトップセールスになる質問型営業最強フレーズ50』より、営業における誰も教えてくれなかったエッセンスのみを抽出し、最強フレーズを紹介していきます。今回は、フレーズ8です。
お客様の欲求やニーズを引き出し、
それを実現するための手段を提示することが営業の務め
あなたはお客様に場所を取ってもらい、時間を取ってもらいました。そして、お客様が聞きたいことも質問しました。それを、いつから考えていたのかも聞いたとします。
そこで、今までのことをまとめて次のように質問をするといいのです。
お客様:「そうですね。なんとかできたらいいですね」
営業マン:「では、いい方法があればどうですか?」
お客様:「それは助かりますよ」
営業マン:「いい方法ありますよ。実は……」
私たち人間の思考は「感じる・思う→考える→行動」というように進んでいくことをお話ししました。ここで重要なのは「感じる・思う」です。人間は感情の生き物です。感情でも特に重要なのは「欲求」です。
この欲求には2つあります。「実現欲求」と「手段発見欲求」です。「実現欲求」とは、「それを実現したい!」という欲求です。「手段発見欲求」とは、「それを実現するための方法、アイデア、手段を発見し、実現したい!」という欲求です。
ここでの順番は、あくまでも「実現欲求」が先です。この実現したいという気持ちがあってこそ、その方法、アイデア、手段を発見し、行動に移し実現しようとするのです。
いくら実現に向けての素晴らしい方法、アイデア、手段を発見したとしても、それを実現したいという気持ちが弱ければ行動には移しません。
「なんとかしたいと思いませんか?」は今までのお客様への質問を通して、実現欲求を確認する質問です。この質問によって、お客様は「そうなんだ。私はなんとかしたいんだ」「なんとかしたかったんだ」という思いを高め、実現欲求を高めるのです。
前回の「何を一番お聞きになりたいですか?」も、実現欲求を高める質問なのです。「なんとかしたいと思いませんか?」という質問はお客様の実現欲求を再確認して、それをさらに高める質問になるのです。
次に、「では、いい方法があればどうですか?」という質問をすると、「そんな方法があるなら、教えてほしい」と、実現への手段発見の欲求も高まります。
先ほどの「それについてはいつから考えて(悩んで)おられましたか?」という質問は、「随分、未解決のまま放っておいたな。それをなんとかしなければ」と、お客様に気づかせるといいました。これは手段発見欲求を高める質問になっています。続けて、「では、いい方法があればどうですか?」の質問をすると、手段発見欲求を再確認し、さらに高めるのです。
このように見ると、これまでの質問が実現欲求と手段発見欲求を高めるものとして、システム的に組み込まれていることがおわかりになるでしょう。
営業で重要なのはお客様の欲求やニーズを引き出し、それを実現するための手段を提示することです。
ここで、注意してもらいたいのは、現在はアプローチの段階だということです。これからプレゼンテーションに入り、具体的に話を聞いてもらうわけです。このプレゼンテーションを聞くことに対する興味を、この質問で聞いているのです。ですから、あくまでも軽くやわらかく聞くのがポイントです。