ベネズエラのインフレ率は今年末までに100万%へ上昇する。7月下旬、そんな見通しを国際通貨基金(IMF)が発表した。
ベネズエラ政府はかなり前に物価統計の公表をやめている。よって、現時点の実態は誰にも分からないのだが、野党は6月時点で国内のインフレ率は4.6万%に達したと主張していた。また、闇市場における為替レートからインフレ率を推計することで著名な米ジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンケ教授は、同国の6月末のインフレ率は4.3万%、7月末は3.3万%と述べている。
欧米主要紙の報道によると、首都カラカスでは、消費者はちょっとした食品の購入にも大量の紙幣を用意しなければならなくなっているという。生鮮食料品市場の店主は、一日の営業が終わると膨大な紙幣を銀行に持ち込む。
ロイター通信によれば、不便さの度合いが日に日に高まっていくため、ベネズエラの通貨ボリバルをスマートフォンで送金できるアプリが人気を呼んでいるという。QRコードで決済できるなら、消費者も店も膨大な紙幣を処理する煩わしさから解放される。しかし、ベネズエラの通信インフラは貧弱であるため、システムが止まってしまうことがよくあるという。
また、インフレ率の上昇ペースが急激に加速すると、スマホで電子化されたボリバルを受け取っても、その価値はどんどん目減りする。このため、最近は物々交換を望む商店が増えてきている。