「週刊ダイヤモンド」9月1日号の第1特集は「自動車・電機・IT 40年で完成した日中逆転の全経緯」より、上海を拠点とする大手経済メディア「第一財経」による現地報道から、膨張する中国の経済・産業の様子をお伝えする。記事一覧はこちら。中国政府は今後5年間に8兆ドルの商品を輸入し、対外投資額を7500億ドルとすることを保証した。これらは各国に広範な市場、投資、発展のチャンスを提供するものとなるだろう。(王琳 第一財経記者)
「金の枕」と呼ばれるタイのモントーン種ドリアン、パキスタンの松の実、南アフリカはステレンボッシュのカベルネ・ソーヴィニョン、アルゼンチンの牛肉、カザフスタンのオーガニック小麦粉、エジプトの長繊維綿バスタオル──。
これらそれぞれの国の名前と密接に結びつけられる特色ある製品は、中国の数億人に及ぶ消費者の消費レベルアップ、味覚の充実、質の高い生活を追求するための、新たなお目当てとなっている。
この背後になくてはならないのが、自由貿易協定を通して農産品の輸入関税を引き下げ、企業によるECプラットフォームの構築を奨励し、検査・検疫と通関手続きを刷新、簡略化し、相互接続プラットフォームを構築して物流経路を確保した中国の努力だ。
商務部国際貿易経済協力研究院の周密研究員は、中国の輸入拡大の取り組みは、貿易の需給の両面から見て、中国の消費者に利益を与えただけでなく、広大な国の輸出企業にとっても新たなビジネスチャンスをもたらしたとの見方を示している。国際情勢が複雑に入り組み、保護貿易主義が台頭している中で、中国は引き続き積極的に輸入を拡大し、互恵・ウィンウィンの開放戦略を推進して、自由貿易を擁護する一貫した立場を表明している。
中国共産党上海市委員会党学校の講師で、上海市習近平新時代中国の特色ある社会主義思想研究センターの鄒磊研究員は第一財経の取材に応じ、中国の約14億人の人口のうち、すでに約4億人が中間所得者層に入っており、中国政府は今後5年間に8兆ドルの商品を輸入すると話す。
さらに、6000億ドルの海外投資を誘致し、対外投資総額を7500億ドルとすることを保証したことを明らかにした。そして、これらが各国に広範な市場、投資、発展のチャンスを提供し、さらに大量の雇用を創出するだろうと述べた。
「輸入拡大と中国国際輸入博覧会の開催を通し、中国は世界経済、特に広大な発展途上国に積極的なエネルギーと期待を示しており、これは中国が人類運命共同体の構築を推進する上での役割を体現している。『中国の役割』は発展途上のパートナーにさらに恩恵を与え、開放型世界経済の構築を助けるだろう」と鄒磊氏は述べている。