いよいよクライマックスを迎えるロシアサッカーワールドカップ2018。この大会の最大のスポンサーは中国企業だ。その中国企業は莫大なマーケティング費用を投じただけあって、売上高や知名度の爆発的な拡大という成果を得ている。しかし、サッカーの試合で番狂わせが起きたのと同様に、目論見が外れたケースもあったようだ。ワールドカップを舞台に繰り広げられた中国企業のマーケティング戦略の最前線をレポートする。中国の経済メディア「第一財経」に掲載された記事を転載する。
2018年ワールドカップロシア大会は佳境に入ってきているが、今回中国のサッカーファンはとても困惑している。
「頼むからムカつかせないでほしい」
最近、徹夜でワールドカップを観戦していた唐栄氏はたまらず声をあげた。というのは、今回のワールドカップは番狂わせが続出し、ダークホースが横から出てきて、ドイツ、アルゼンチン、ポルトガル、スペインなどの強豪チームが次々と「屋上に上がって飛び降りる(姿を消すという例え)」のが、唐氏にとっては納得できないことだったからだ。
その中でも、彼にとって最も納得できなかったことは、ハーフタイムに目にする広告が主に“洗脳広告”であることだ。
「こうした広告を見ると、スクリーンを破りたいとう衝動に駆られる...」と彼は言う。
ワールドカップは影響力のあるスポーツイベントなので、大手企業は様々なマーケティング手段を使う。それは当然のことながら、広告費の急増を招く。
フランスの広告大手ピュブリシス(PUBP.PA)傘下の市場調査会社ゼニス(Zenith)の最新データによると、今年のワールドカップ期間中の各国企業の広告費は24億ドル(約154億元)に上り、中国企業の広告費が最も多く、8億3500万ドル(約53億5000万元)に達した。その額はアメリカの約2倍(4億ドル)で、ロシアの6400万ドルをはるかに上回る。