人の判断基準がそう変わるものではないと仮定すると、未婚者増加の原因は、結婚することによって得られるベネフィットが減ったか、結婚することに対するコストが上がったか、いずれかに分類できるはずだ。

原因は大きくいって六つ

 影響度「大きさ」の順番を確定することは容易でないが、未婚率の上昇の原因として以下の六つが思い浮かぶ。

(1)結婚の社会的重要度低下
(2)性欲の低下
(3)女性労働参加拡大
(4)家庭内労働力の必要性低下
(5)勤労者所得の伸び悩みと専業主婦家庭の呪縛
(6)育児コストの上昇

 では、順に見てみよう。

(1)結婚の社会的重要度低下

 一つには、生活の単位が「家」から「個人」に移ってきたことを背景とする、結婚の必要性の減少があるだろう。端的に言って、「家を継ぐ」ということが重要視されなくなってきた。多くのケースで、結婚は家の問題であるというよりも、個人の選択の問題だと解されるようになった。家族、親族からの「結婚しなさい」という圧力は、かつてよりも格段に低下した。

 また、1990年くらいまでの段階では、会社では社員が結婚していることをプラスに人事評価する傾向が顕著にあった。独身であり続けることが、人事上不利に働く要素だったのだ。例えば、結婚していない社員が、海外駐在のローテーションに乗り損ねるような大手商社が現実にあった。

 また、会社内の人事評価にあっても独身が不利に働く傾向があったし、男性の場合は妻帯者の方が社会的な信用があった。

 近年の、個人の平等化を徹底する人権意識の変化を背景に、家の重要性が薄れ、独身であることの会社や社会での不利が低減したため、「結婚」によって親族のプレッシャーや個人としての各種の不利を解消するベネフィットが、大きく低下したと考えられる。