山下さんにその意図を尋ねると、「いやぁ、社員もいないのにCEOとか、これはさすがにやり過ぎでした。ハズいですよねぇ。でも、会社員時代に通っていた起業セミナーで、何でも多少盛るくらいのほうがいいんだと吹き込まれまして」と苦笑いを浮かべながら弁明する。

 “ガチ”じゃないだけ少しはマシかもしれないが、いまどきこうした“盛り”は新進の起業家たちの間ではごく普通に見られることでもある。

「会社の住所を見ると、やたらに恵比寿とか六本木が多いとかね。でも実際は、ちんけなレンタルシェアオフィスだったりするんですが(笑) そんなぼくも今でこそ経費削減のために自宅兼事務所にしてますが、会社立ち上げ当初は麻布のレンタルオフィスを借りてましたので人のことは言えませんね」

 大手IT企業時代は “セミナー渡り鳥”だったという。

「IT系企業って、意識高い系じゃないとダメみたいな空気が支配的なんですよ。表面的なところで言えば、こざっぱりしたラフなファストファッションを着て出社し、開放的なミーティングルームでスタバのコーヒーを片手に、立ったまま打ち合せするのがカッコイイとかいうノリですね」と語った後、こう続ける。

「社内勉強会とか外部セミナーの類いに通っている人間の割合も、普通の企業に比べたら相当高いと思いますね。ぼく自身、30代に入った頃から、週に2〜3日の頻度で何らかのセミナーとか異業種交流会とかに顔を出していました。出費が多いときには、月に15万円くらいにのぼりました。他にも、経済系サイトの有料会員になったり、ネットで英会話を学んだり、人脈を拡げ、意識を高めるために福島にボランティア活動に行ったり、いろいろやってましたね。ためになったこともあったけど、今にして思えば、もっと日常の実務に真剣に取り組んでおくべきだったかなと」

 特に影響を受けたのが、ホリエモンこと堀江貴文氏の言動だという。