ピラミッドの頂点に上り詰めるまでに努力をして勝ち抜いてきた。それでも、そこはまだまだ階段の入り口に過ぎないわけです。そこから先の道は、今までよりももっともっと険しい道なのです。

 実際には、プロになれなかったら大学に進む、実業団に入る、独立リーグを目指すなど、いくつかの“第二の道”があります。そこから何年後かにプロになるという可能性も残されています。

 一度きりの人生ですから、「あがく」ことも大切でしょう。第二の道であがくことも選択肢としては間違いではありません。しかし、それでもダメだったら、どうすればいいのでしょうか。

 結局、どこかで夢の実現を諦め、夢を楽しむ道に入るしかないわけです。

 しかし、どうでしょうか。そこまで打ち込んできた人に、「まあ、しょうがないじゃない。これからは夢を楽しめば?」などと言って納得してくれるものでしょうか。

 人生のどこかで、ほとんどの人は挫折します。しかし、本気であればあるほど、実現しそうな目標であればあるほど、「夢を諦めるけど見続ける」などというメンタリティは理解できないでしょう。

 高校球児ではなくても、そんな経験をした人はたくさんいると思います。寸前まで行った、「これは行ける!」と思ったのにダメだった。目標を達成するために並々ならぬ努力をしてきたけれど、結局ダメだった。

 夢は近づくにつれて必ずや目標に変わります。目標は夢とは異なります。目標は達成されない限り、失敗なのです。

目標に到達しなければ、
素直に負けを認めて生き直す

 目標達成に失敗したらどうすればいいのでしょうか。

 第一歩は辛いことではありますが、まず負けを認めることしか方法はありません。そのうえで、「できることなら嫌いになれ!」と私は言いたい。しかし、実際にはそれまで愛した対象を嫌いになることは無理かもしれない。その場合は、何とかして自分の人生を、その道から遠ざけるしかありません。逃げるのです。

 全身全霊を懸けて、目標達成に肉薄し、しかし寸前で挫折した人は、真剣にその目標を人生から遠ざけるしかないと思います。嫌いにはなれないから、物理的に遠ざけるしかないのです。

 毎年、毎年、甲子園での高校野球を観戦するたびに、そんなことを考えてしまいます。キャリアを教えている身として、そこは避けては通れないところなのです。