「予想より人口が増える」ことを
想定した鉄道整備計画はまだ出ていない

 ところが、ふたを開けてみると2000年代に入って都心回帰はさらに加速する。東京都心の人口は急激に増加し、鉄道の利用者数もあわせて増加、2005年以降混雑率は上昇傾向に転じている。

 この思わぬ鉄道利用者増にどう対応するのか。実は、国の方針はまだ出ていない。最新の2016年の交通政策審議会答申は前回の人口推計を前提に策定されたもので、基本的には第18号答申の方向性を引き継いだものとなっているのだ。最新の人口推計が示す、東京圏の人口拡大を反映した整備計画はまだ具体化していない。

 また利用者が増えているのだから、今後30年を見越して再び新線建設など、大規模な輸送力増強を進めるべきかというと、鉄道事業者はリスクの大きさに二の足を踏むだろう。「首都圏の鉄道『新線・延伸計画』が相次ぎ浮上している理由」でも取り上げたように、いくつかの新線計画は動きつつあるが、都心の混雑を抜本的に解決するような大規模な計画ではない。

 議論は鉄道事業者だけにとどまらない。このまま東京圏一極集中を是認するかどうかという議論や、人口、就業地域、就業時間の集中を働き方改革などで改めるべきとの議論があり、一方で国際競争力向上のために都心にさらなるリソースを割くべきとの考え方もある。ポスト2020年の経済情勢、社会情勢には依然として不透明な点も多い。

 いずれにしても、手をこまねいていれば、現状の通勤難は、あと20~30年は続くだろう。東京の鉄道計画は今、非常に悩ましい状況となっている。