談笑するシニア写真はイメージです Photo:PIXTA

何度もウケた話、安心して話せる得意ネタ……そうした「鉄板ネタ」を繰り返していると、脳の機能を鈍らせる可能性があるという。すべらない話と脳の関係について説く。※本稿は、理化学研究所ロボット工学博士・認知症予防研究者の大武美保子『脳が長持ちする会話』(ウェッジ)の一部を抜粋・編集したものです。

武勇伝や自慢話の鉄板ネタが
話し手の脳に何をもたらす?

 自分なりにテーマを設けて「最近の話」のネタをストックしたり、話が面白い人を補助輪に面白い話のネタを探したりすることが、どうして脳が長持ちする会話につながるのか。

 次のような会話スタイルの人、身近にいないでしょうか。

 配属されたばかりの新入社員に、武勇伝を聞かせる上司。

 仲間うちに新しいメンバーが加わると、必ず自分の自慢話をひと通り披露する人。

 仕事を引退しても、あるいは仕事とは無関係な集いの場でも、ずっと仕事にまつわる話を楽しそうにする人。

 これらに共通しているのは、その話をしているとき、話し手は非常に心地よく、脳が安定状態にあるということです。なぜ心地よく安定状態にあるのかと言えば、話のテーマが話し手にとっての「鉄板ネタ」であることがほとんどだからでしょう。「鉄板ネタ」の多くは、「得意ネタ」であり、自分が何度でも話したいネタ、いわゆる自分的に「すべらない話」です。

 そういう話を披露している最中、脳の中はいつもと同じ回路を信号が行き来する状態になっています。見聞きしたことを反復して話すことで、いわば安定軌道のような信号の通り道ができていくと考えられます。