「子は親を写す鏡」と言いますが、へそ曲がりな子にしないために、保護者のある行動が重要になってきます。普段の生活に心当たりがないか、チェックしてみてください。
46年間、教育一筋――都立中高一貫校合格者シェア52%で業界1位、都立高合格者数1位を獲得した東京都随一の学習塾「ena」の学院長である河端真一氏の最新刊『3万人を教えてわかった 頭のいい子は「習慣」で育つ』が発売たちまち重版。結果を出すことで証明してきた、その教え方・学ばせ方は、まさに、最強にして最高の子育て論であり、塾教師としての立場でできることではなく、家庭にいる保護者ができることをまとめたのが本書です。
本連載では、子どもたちにとって貴重な時間を保護者としてどう接するか、保護者の対応次第で子は変わるということを実感していただき、今すぐできることを生活に取り入れてください。この夏休みからぜひ取り組んでほしいことを、本書から一部抜粋し、やさしく解説していきます。(初出:2018年8月25日)

素直な子に育てるために、大人が絶対にしてはいけない行動【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

保護者がやるべき3つのこと

「腑に落ちる」という言葉があります。この「腑」は、はらわたやお腹の中心のこと。転じて、「心の底」のような意味合いでしょうか。

 人は物事に対して十分に理解・納得ができると、その物事が腹の底に落ちたような感覚を得ることができます。これが「腑に落ちる」という状態です。

 素直な子は、先生の言葉がスーッとお腹のなかに入っていってストンと落ちます。先生の言葉をそのままストレートに受け止めているのです。そんな素直な子ほど勉強の理解が早いので、学力がどんどん伸びます。

 逆に素直でない子、へそ曲がりな子は、聞いた話があっちへ引っかかり、こっちへ引っかかり、なかなか腹の底に落ちていきません。その結果、素直な子と比べて理解をするのが遅くなります。

「素直な心」は勉強をするうえでとても大事なのです。

 へそ曲がりな子にならないために、保護者ができることはいくつかあります。

 たとえば、僭越ですが、円満な夫婦関係を築かれることです。

 夫の言うことに妻がいちいち反論したり、あるいは妻のことを夫がいつも否定していたりと、意見が対立してばかりの夫婦関係を間近で見ている子どもは、お父さんとお母さん、どちらの言うことを信じていいのか、わからなくなってしまいます。

 また、「お父さんはお母さんからいつも怒られてばかり。だから僕もお父さんの言うことは聞かなくてもいいや」と無意識に考えるようになります。やがては、大人の言うことすべてを素直に受け止められなくなります。

 そのような子は、人の言うことを素直に受け止めることができないため、否定的なことばかり言ったり、常に揚げ足取りをしたりするようになってしまいます。

 普段の夫婦関係が、子どもの性格に多大な影響を与えるということです。

 現代において夫唱婦随(夫の言うことに妻が従うこと)が理想的とは限りませんが、少なくともパートナーの言うことをいちいち否定するような関係ではまずいでしょう。

「お互いの話をきちんと聞き、自分に対する意見には素直に耳を傾ける」というように夫婦の円滑なコミュニケーションができていれば、子どももそれにならって素直な性格に育ってくれます。

 また、保護者が何事も要領よくやろうとするあまり、右往左往してしまう。これも子どもにはいい影響を与えません。

 ネットの評判に影響されて志望校をコロコロと変えたり、参考書が合わないからと次々と新しいものを買ってきたり。保護者がそんなふうに落ち着きがないと、子どもは保護者の2倍、動揺します。何を信じればいいのかわからず、落ち着いて勉強できません。

「夫婦仲良くする」「要領だけを追い求めて右往左往しない」「几帳面な生活態度を心がける」といったことを実践していれば、子どもは素直な子に育ってくれるはずです。元来、子どもは誰でも素直なものだからです。

 私は決して「先生の言うことに疑問を持つな」と言っているのではありません。

 勉強に対して意欲のある子が先生の発言のある部分に疑問を持つことは、とてもいいことです。それは興味や関心が高いということだからです。疑問を解消するために、先生に積極的に質問すればいいでしょう。

 しかし、素直ではない子が発する疑問はそのような疑問とは少し違います。

「宿題をこれだけ出すからきちんとやってこいよ」と指示したら「えーっ! そんなに!? どうして?」

 つまり、面倒くさいことを避けたいがために、とりあえず反発したり、揚げ足を取ったりする。このような疑問の持ち方がほとんどです。そんな子ばかりになると、授業が成り立たなくなり、本人にとっても周りの子にとってもいいことはありません。

 世の中には、疑問を挟む余地のない当たり前のことが存在します。「なぜ人を殺してはいけないか」「なぜ人の物を盗ってはいけないか」などは、議論する必要はなく、説明をしてはならないのです。子どもたちはそのまま素直に受け止めることが大切です。

 お子さんの学力を伸ばしたいなら、ぜひ素直な心を持った子に育ててください。

【POINT】

素直な子ほど勉強の理解が早いので、
学力がどんどん伸びていく。

<参考文献>
勉強ができる・できないは、遺伝や才能ではなく○○で決まる。
「自ら勉強する子」にするために親ができることとは?<佐藤ママ×河端学院長 特別対談>