確かに、マスク氏はベンチャー企業の旗手としては面白い存在だ。実際、さまざまなアナリストや経営者の話を聞くと、マスク氏のファンは多い。マスク氏の存在があったからこそテスラの成長があったと考えることは自然だろう。

 特に、同氏が利益(お金)の獲得よりも、“長期の視点”で人類の課題を解決するために起業を選択したことへの称賛は多いようだ。

 それは重要なことだが、企業の経営には冷静さ、論理的思考力など、情熱とは異なる要素も求められる。

 現在のマスク氏の言動にそうした要素を感じることはできない。その人物が経営トップの座にあることが、テスラの経営改善につながるとは考えにくいのが実情だ。

今後のテスラの
事業展開予想

 今後のテスラの経営を考えると、どういったタイプの人材が経営トップの座にあるかが、同社の将来を左右するだろう。そもそも、電気自動車に対する社会の需要は大きい。今後もEVへの需要は高まることが予想される。

 すでに、中国は大気汚染問題を克服し、新しい製品の普及によって自動車産業の成長を支えるために、EV開発を重視している。インドなどその他新興国、欧州各国も同様だ。

 ある意味、テスラは将来の自動車の一つの在り方を社会に示した変革の旗手とみなされてきたといえる。

 当面、テスラはモデル3の生産を進めることによって、何とか事業を軌道に乗せることは可能とみられる。