プルデンシャル生命2000人中1位の成績をおさめ「伝説のトップ営業」と呼ばれる川田修氏が、あらゆる仕事に通ずる「リピート」と「紹介」を生む法則を解き明かし、発売たちまち重版が決まった話題の新刊『だから、また行きたくなる。』

この記事では、川田氏自身が実践している「ちょっとした工夫」を紹介する。(構成:今野良介)

逆さまに字を書く本当の意味

「どうせ仕事をするのなら、楽しんでやりましょう」。

私は企業の新人研修や、5年目研修などに呼んでいただくと、若い社員のみなさんに、よくそう話しています。

ビール瓶の受け皿に松の葉を入れなくても、怒り出すお客さまはいません。お客さまの姿が見えなくなったあとまでお辞儀を続けなかったからといって、あなたのお給料が下がるわけでもありません。
(この2つは、『だから、また行きたくなる。』で紹介している「心が動かされるサービス」の例です)

でも、それをやったら、お客さまがより喜んでくれるかもしれない。あなたのお店や会社を、より信頼してくれるかもしれない。そして、そういう工夫をすることによって、自分自身の仕事がより楽しく、面白くなります。

次の写真を見ていただけますか。

お客様目線に立ち、文字を逆さまに書く。

私は、営業活動のときに、「文字を逆さまに書く」ということをやっています。

お客さまと商談をするときは、当然、お客さま側に資料を向けながら説明します。そして、その資料に何か書いて説明したりします。普通は、そういうときに紙を自分のほうに向けて書いて、またお客さまのほうに向けます。

つまり、紙を何度もクルクル回しながら説明を続けることになります。この行為は、お客さまにストレスを感じさせたり、集中力を失わせてしまうことになりかねません。

だから私は、紙の向きはそのままにして、文字を逆さまに書いて説明しています。数字はもちろん、「一生涯」「安心」といった漢字も、逆さまに書いています。

すると、「字を逆さまに書けるんですか? すごいですね」と、お客さまにちょっとした驚きを味わっていただけます。それだけでなく「文字を逆さまに書ける人」として、お客さまに覚えていただける効果があります。

お客さまがご友人を紹介してくださって、初めてお会いしたときに「◯◯さまから、僕のこと、どんなふうに聞いていますか?」と尋ねると、よくこんな答えが返ってきます。

「『とにかく会ってごらん。字を逆さまに書ける面白い人だから』って言われました」

私は営業として、お客さまに商品について興味を持っていただくだけでなく、自分自身に興味を持ってもらうことを意識しています。

商品にだけ興味を持ってもらおうとするうちは二流の営業だと思います。なぜなら自分の商品に興味を持つお客さまは、ほかの営業が紹介する商品にも興味を持つからです。

しかし、自分自身に興味を持っていただいたステージでは、競合はいなくなります。

文字を逆さまに書くことは、私の先輩がやっていたことを真似して始めたのです。私は、お客さまに喜んでもらえそうなことは、どんどん真似します。それが先輩でも後輩でも関係ありません。お客さまに喜んでもらえるという大きな目的を達成するためなら、ちっぽけなプライドには何の価値もないと思っています。

そして、何よりも仕事が楽しくなります。文字を逆さまに書いて「よくそんなことできますね」とお客さまが私に興味を持ちいろいろと質問してくださると、楽しいのです。
その結果として、ビジネスでもプラスになる。私はそういう発想が大事だと思います。
マニュアルではなく、本人がお客さまに喜んでもらいたいという気持ちを持って、心から楽しんでその仕事をやっているのか。そういうところも、お客さまは観ています。

「やらなければいけないこと」ではなく、「自分がやったほうが楽しいこと、面白いこと、喜ばれること」は何か

そう考えることが「レベル11」への一番の近道なのです。

(※「レベル10」「レベル11」とは、『だから、また行きたくなる。』のキーメッセージ。お客さまが「普通だな」と感じるサービスが「レベル10」、それをほんの少し超えてお客さまの心を動かすサービスが「レベル11」です)

(参考記事)
伝説の外資系トップ営業が思わず写真におさめた「感動するサービス」5選
『だから、また行きたくなる。』序章全文公開